SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

魔剣の軍師と虹の兵団IV

[著者:壱日千次/イラスト:おりょうMF文庫J]★★

 後で何回振り返ってみても、トリスタンのロリコ
ンカミングアウト&ルーナへの求婚の瞬間ばっかり
頭に浮かんでしまいます。終盤の難敵との死闘中に
やってくれやがる。本来ドン引きの筈なのに、ちょ
っとカッコイイと思ってしまったじゃないですか。
 物語を急速に畳もうとしているのがよく分かる、
完結巻らしい内容でした。ダラダラやるのは嫌です
けど、この展開ならもう少し引っ張ってくれた方が
嬉しかったかな? 平定までの戦争をじっくり描い
て欲しかったのもありますが、変態達の痴態をもっ
と眺めていたかった気持ちの方が大きいです。最後
の最後まで誰も彼もぶれない所が大好きでした。

既刊感想:IIIII

勇者と魔王が電撃同盟! キッカケは、お互いの恋を応援するため!?

[著者:あごバリア/イラスト:なつめえりMF文庫J]★

 相手の恋愛成就を応援しようと協力し合う者同士
が、その内互いに気になる存在に発展してゆくパタ
ーンなんじゃないですかこれは。……とか、ちょっ
とだけ期待を寄せていた流れにはなりそうもありま
せんでした残念。勇者と魔王がそうなっちゃったら
それこそ大問題ですけど、壁が高ければ高いほど燃
え上がるとも考えられますし。希望は捨てません。
 と言っても和気藹々と好きな相手と同居生活やっ
てる時点で、秘めた恋でもなければ深刻になりよう
も無いんですけど。お気楽な会話成分多めなので、
そこが楽しめるかどうかだと思います。同じ場所で
だらだら〜っとやってる手応えだったもんで、キャ
ラの印象は残っても少々乗り切れない感じでした。

無法の弁護人 法廷のペテン師

[著者:師走トオル/イラスト:toi8/ノベルゼロ]★★★

 裁判小説。弁護士側のお話です。ひとつ山を越え
たら更に面倒臭い山が立ちはだかり、どうやっても
被告人有罪判決が明白な状況下で、如何にして逆転
無罪を勝ち取る事が出来るか? 二転三転する展開
で、最後まで真犯人を絞り込ませず興味を引き続け
てくれる。一気に読み切ってしまう面白さでした。
 最後の決め手となったアレは、阿武隈のやり口な
らそうじゃないかと。その事についてはきっと本多
と相容れないだろうと。そんな風に思ってました。
 依頼人の冤罪を晴らす為に、どこまで手段を選ば
ず踏み込めるか。本多は無実と確信した依頼人をと
ことんまで信じ抜くタイプのようで、案外阿武隈以
上に躊躇なくやってしまえるのかも知れません。

帰宅戦争 帰りたいんだけど戦争起こしてもいい?

[著者:鬼火あられ/イラスト:ちり/富士見ファンタジア文庫]★

 第28回ファンタジア大賞『銀賞』受賞作。
 テンポは良くても平坦でした。テンポを著しく損
なってでもでこぼこした方が好みでした。無茶出来
るかどうかは物語の内容にもよるでしょうけど、も
っと帰宅同好会側に手段を問わず引っ掻き回して欲
しかった。相当の無茶は出来たような気がします。
 終盤の最終決戦では結構危険な行為も冒してまし
たけど。粉塵爆破とか。でも、最後まであんまり気
持ちが高揚しなかったり熱が篭らなかったのは何故
でしょうね。司令塔の太郎がテンション低めのキャ
ラだったからなのか。負けても負けても淡々として
いたからなのか。過去の経験から察するに、元々は
体育会の熱血野郎だったんじゃないかと思うのです
が。その辺の話も更に詳しく聞いてみたかった。

非オタの彼女が俺の持ってるエロゲに興味津々なんだが……

[著者:滝沢慧/イラスト:睦茸富士見ファンタジア文庫]★★

 第28回ファンタジア大賞『金賞』受賞作。
 これは絶対に何か裏があるだろう? とか勘繰っ
ちゃってすいません。あり得ない事が間違ってあり
得てしまってもいいじゃない、だって物語の中なん
だから。そう思う事で気持ちを落ち着けました。
 萌香が一真を好きになったあの切っ掛けだけで、
ここまでやるか? ってのが正直な所です。どんな
にエロゲの面白さを熱く語ろうとも、彼女にそれや
ったらドン引きされるのがオチでしょう。まあ脈あ
りだからぶちまける事が出来たのかのかも知れませ
んけどね。これで萌香に嫌な裏の面があったらどう
しようかと思いました。それこそ鬼畜の所業です。
 エロゲにしか出来ない事。どんなに熱く語った所
で、やっぱりそこはエロしかないと思うんですよ。