転生少女の履歴書1

[著者:唐澤和希/イラスト:桑島黎音/ヒーロー文庫]★★

転生少女の履歴書 1 (ヒーロー文庫)

転生少女の履歴書 1 (ヒーロー文庫)

 末恐ろしい九歳女児。リョウの成長過程に触れて
みた感じでは、この年齢よりプラス五歳程度年上な
イメージを抱いていました。年齢以上の頭脳を持ち
合わせていても、肉体が思い通りに応えてくれるも
んだろうか? 疑問はずっと持ち合わせていたんで
すけど、結局「そこはまあ異世界だから」の一言で
納得させることにしました。転生前の世界とは肉体
強度そのものが大幅に違うのかも知れませんし。
 そんなリョウの有能ぶりに驚愕を抱きつつ、異世
界での転機の連続にも同様に驚愕させられっ放しで
した。やっぱりねえ、よく幼い身で過酷な境遇の連
続に耐えられたもんだと思うわけですよ。持ち前の
「細かい事はそんなに気にしないんだぞ」な精神が、
前向きな気持ちにさせてくれたのでしょうかね。

じっと見つめる君は堕天使

[著者:にゃお/イラスト:R_りんご/角川スニーカー文庫]★★★

じっと見つめる君は堕天使 (角川スニーカー文庫)

じっと見つめる君は堕天使 (角川スニーカー文庫)

 第20回スニーカー大賞『特別賞』受賞作。
 変化球的な事と言えば、堕天使が平凡な男子高校
生の下へ頭から突っ込んで来たくらいで。いやそれ
だけでも大したインパクトはありましたけど、その
先は案外真っ直ぐな学園青春ストーリー的な事をや
ってたんじゃないかなーと。サラサの存在をイレギ
ュラーなものと盛り込みつつ、恋愛と友情をストレ
ートに描いてくれている。こういうの大好きです。
 表向きはぐーたらで怠け者、でも本質はそうじゃ
ない。多大な迷惑を被りつつ、それでも体当たりで
向き合う浩之に触れて、徐々に良い方向へ変化を見
せるサラサの姿がとても素敵でした。二人の関係性
が非常に近しいものになってしまったので、単なる
パートナーから気持ちが動くかも知れませんね。

うーちゃんの小箱

[著者:和見俊樹/イラスト:アルデヒド角川スニーカー文庫]★★

 第20回スニーカー大賞『優秀賞』受賞作。
 本当は、自分自身で決めなければならない事なの
に、決定権を誰かに委ねてしまう。或いは、踏み止
まっても委ねたい欲求に駆られてしまう。そうなっ
てしまう場合は、ついとかうっかりとか、簡単にあ
っさりと出来るものではないのかなと思います。
 氷見伊助の場合、こんな感じだったのではないで
しょうか。自分で決められないのを誰かに投げてい
る、とも取れますが、投げられるだけの信頼みたい
なものを相手に抱いているから委ねる事が出来るの
かも知れません。そして、受けた相手も伊助を理解
したいからこそ、背中を押してあげたい気持ちにな
れたのかなと。進む道が決められず、もどかしい思
いもあったり、色々考えさせられるお話でした。

ヒマワリ:unUtopial World 1

[著者:林トモアキ/イラスト:マニャ子/角川スニーカー文庫]★★

 四年前のあの日、あのとき。頑なに伏せられてい
たので、いずれ徐々に明かされて行くのかと思いき
や、実は既に語られた後? だったらしいです?
 過去シリーズの世界共有があったり、物語の流れ
を汲んでいたりするようなので、そこが不足したま
ま触れるには惜しい気もしますが仕方ないですね。
 描かれている物語の中でのゲームルールは至って
単純明快。参加者達や主催者達の思惑は混ざり捻れ
て複雑怪奇、と言った所でしょうか。中でもヒマワ
リは突出して最も分かりません。周囲に流されてい
る様でいて、自らの意思で身を投じている様にも見
えて、ただ何処へ向かおうとしているのかは掴ませ
てくれない。やっぱり四年前の事が知りたいなあ。

アルカナ・ナラティブ

[著者:射当ユウキ/イラスト:シイ/ファミ通文庫]★★★

アルカナ・ナラティブ (ファミ通文庫)

アルカナ・ナラティブ (ファミ通文庫)

 タロットカードの知識は僅かにありました。何処
かで拾っていた模様。これは22種のカードをモチ
ーフとした様々な能力が展開されてゆく物語です。
 最初は全種類ではなくて、その一部分。それだけ
でも、どのカードにどんな性質の能力が宿っている
のか、そして能力を得た登場人物達がどのようにし
て扱い振るうのか。そんな事を考えながら、翔馬達
の感情を追って行くのがとても楽しかったです。
 ヒノエ先輩の言葉を信じるなら、常に校内に22
人22種の『アルカナ使い』が存在するという事で
しょうか。矛盾無く違和感無く個々の能力を盛り込
んで行くのは大変な作業だろうなあと思いつつ、今
後一層の複雑さが増す事を期待してしまいます。