SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

霊感少女は箱の中

[著者:甲田学人/イラスト:ふゆの春秋電撃文庫]★★

 最初の発端から持ち続けていた「何故こうなった
のか?」の疑問に対して、最後の最後に明確な解が
得られたので少しホッとしました。もしもこれが曖
昧なままだと、スッキリしないもやもやな空気を多
量に抱えたままになってしまいそうだったので。
 一方で、自虐でも卑下でも何でもなく、本当の本
当に瞳佳の言葉通りに彼女が原因を持ち合せていた
事。そして端を発していた事については、ちょっと
遣り切れないなって気持ちもありました。持ち掛け
たのは夕奈達四人だったとしても、そこに瞳佳が居
なければ、おそらく心霊現象的な何かは起こり得な
かったわけですからね。瞳佳自身が呪縛から逃れる
術が無い限り、これはどうにもならなさそうです。

俺を好きなのはお前だけかよ6

[著者:駱駝/イラスト:ブリキ/電撃文庫]★★★

俺を好きなのはお前だけかよ(6) (電撃文庫)

俺を好きなのはお前だけかよ(6) (電撃文庫)

 16頁~17頁の台詞の仕掛けには、読んでいて
気付かされた瞬間、無意識に「すげえな……」って
声が漏れていました。若干無理はあるにしても、ほ
ぼ違和感無くやってのけて、わざわざ読み手を誘導
して気付かせる辺りとかも。いやホントすげえよ。
 あとは「はいはいリア充リア充」とか冷めた目で
ジョーロを眺めつつ、意外なキャラの台頭に驚きつ
つ、最後は「あぁこう纏めて来るのか~」と仕掛け
の巧さに感嘆とさせられました。メインイベントの
数々にも、幕間のそれぞれの日常エピソードにも、
明確な意味を持たせるような描き方は凄いなあと。
 で、最後に「何でこうなった?」なのですが、関
連性も薄いですし、サッパリ予想つかないですね。

既刊感想:

賭博師は祈らない2

[著者:周藤蓮/イラスト:ニリツ/電撃文庫]★★★

賭博師は祈らない(2) (電撃文庫)

賭博師は祈らない(2) (電撃文庫)

 ラザルスの心の底からの「どうでもいい」は、彼
にとってこれ以上ない位“どうでもよくない事”だ
と言うのがよーく分かる内容でした。そうやって声
に出して発している事自体、本当は無関心でいられ
ないと言ってるようなもんですよね。おそらくラザ
ルスにも自覚はあるんでしょうけど。今回はリーラ
と自身の気持ちを放っておかず、ちゃんと彼女と真
剣に向き合ってくれた事、凄く嬉しく思いました。
 あとは序盤での何気ない台詞、『踏める限りの正
当な手段を踏め』が終盤で非常に大きな意味に変化
する展開が堪らなく良かったですね。「ここに掛か
って来るのか!」という感じで。重要なものが掛か
った緊張感溢れる賭博勝負も見応え充分でした。

既刊感想:

魔導GPXウィザード・フォーミュラ02

[著者:竹井10日/イラスト:魔太郎/角川スニーカー文庫]★★

魔導GPXウィザード・フォーミュラ02 (角川スニーカー文庫)

魔導GPXウィザード・フォーミュラ02 (角川スニーカー文庫)

 相変わらず「超高速レース中の車内で何やってん
すか」的なイカレた設定の内容はインパクト抜群で
した。ただ、今回はやたらと各人の魔王と戦ってい
た時期の過去回想が絡んでいたりして、密着エロエ
ロヌチャヌチャカーレース描写を大いに期待してい
た身としては、ちょっと食い足りない印象でした。
 しかも、過去回想のエピソードが物凄く面白そう
なんですよね。そのせいでレース要素が割を食って
しまった程で。メインからは大分離れてしまうとし
ても、外伝の位置付けで見てみたかったかなあ。
 物語は短期決着と言うわけで、疾走感は確かにあ
りましたけど、その駆け足が打ち切りの影響による
ものだとすると、切ないものがありますね……。

既刊感想:

はぐれ魔導教士の無限英雄方程式2 世界から彼女が消える日

[著者:原雷火/イラスト:ポップキュン/ファミ通文庫]★★

はぐれ魔導教士の無限英雄方程式2 世界から彼女が消える日 (ファミ通文庫)

はぐれ魔導教士の無限英雄方程式2 世界から彼女が消える日 (ファミ通文庫)

 カイは二人の弟子を育成しながら、未知なる魔法
の研究を行う事で知的欲求を満たそうとしているん
だったかな? 今回は弟子育成にしても魔法理論の
展開にしても、少々盛り込みが物足りないというか、
まあ正確にはそれ所じゃなかったわけですけど。
 一応カイの個人授業による修練シーンはありまし
たが、とにかく横槍が色々入ってしまい、じっくり
腰を据えてリリィとローザに魔法知識を伝授しつつ
育成するという感じにはなり難かったかもですね。
 その代わり『異形種』について、これまでより更
に詳しい情報が得られたのが収穫でした。未だ実態
に謎は多いですが、白と黒の融合の力を極めて行く
過程で、徐々に明かされて行くのかも知れません。

既刊感想: