SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

マイダスタッチ3 ~内閣府超常経済犯罪対策課~

[著者:ますもとたくや/イラスト:人米/ガガガ文庫]★★★

 もしも日本でカジノが開かれて、世間一般に見え
ない所で複雑に清濁塗れたあれやこれやが蠢いてい
て、そんな裏側で金銭関係の超能力者たちの犯罪が
まかり通っていたとして、それに超常現象対策の人
材が対抗する……と言った具合の内容です今回。
 毎度の事ですが、現実で本当にあったら非常に拙
いんだけど、この現実社会で実際に起こり得そうな
雰囲気が醸し出されている内容、とても興味深く印
象に残るもので凄く好きなんですよ。カジノ設立を
中心に、賛成派と反対派の対立や、裕福層に対する
呼び込み、海外有力者とのビジネスやら駆け引きや
ら、近い将来実現しそうな部分にわくわくさせられ
てしまいます。これで終わりなのが惜しいですね。

既刊感想:

セブンキャストのひきこもり魔術王5

[著者:岬かつみ/イラスト:mmu/富士見ファンタジア文庫]★★★

セブンキャストのひきこもり魔術王5 (ファンタジア文庫)

セブンキャストのひきこもり魔術王5 (ファンタジア文庫)

 シリーズ最終巻。最後の戦いに相応しい最高潮の
盛り上がりを見せて貰えました。本当に、この一冊
に全力を注ぐ意気込みが感じられる展開の数々で。
 これまで何となく不明瞭で、どうにもハッキリし
ないなと思わされていた部分に対して、その殆どが
明確に開示されて決着をつけてくれた点については
本当に大満足の一言で、非常に面白かったです。
 儀式失敗フラグが立ちまくっている中“成功し過
ぎ”て最悪を招くような意表を突く展開や、破壊神
ワールドエンドのあの最後の繋げ方、最後に余韻を
残すそれぞれの結末など。充分に練り込み準備を万
全にしておかなければ、なかなか出来ない描き方で
はないでしょうか。どれも素晴らしいものでした。

既刊感想:

始まりの魔法使い2 言葉の時代

[著者:石之宮カント/イラスト:ファルまろ/富士見ファンタジア文庫]★★

始まりの魔法使い2 言葉の時代 (ファンタジア文庫)

始まりの魔法使い2 言葉の時代 (ファンタジア文庫)

 竜歴500年代のエピソードを“私”視点で追っ
ているものと思っていました。が、今巻の結末に触
れて、もしかしたらこれって、記憶や想いを継承し
た“彼女”の中に在る風景を描いていたものだった
り……とか? そんな風にも見えたりもしました。
 最後に漢字表記で示して見せた彼女の“名前”に
何か意味が込められているのかどうか、そして主人
公の名前が伏せられているのにも意図があるのかど
うか、気になる所で思い浮かんだのはこの辺りでし
ょうか。物語の中で“私”が辿る道はまだまだハッ
キリ見出せておらず、実は単なる勘繰り過ぎで深い
意味や意図は無いかも知れませんが、何となく気に
なっているので今後も気に掛けてみる事にします。

既刊感想:

七星のスバル6

[著者:田尾典丈/イラスト:ぶーた/ガガガ文庫]★★

七星のスバル 6 (ガガガ文庫 た 6-6)

七星のスバル 6 (ガガガ文庫 た 6-6)

 この流れならば、最終巻は陽翔の“ピン男子”で
締めてくれるのでしょうね? いや、最終巻じゃな
く次巻でやってくれて全然構いませんけどむしろそ
うして欲しいですけど。ちなみに表紙の話でした。
 さて本編、最終局面へとひた走る怒涛の展開で、
特に終盤の連戦は大いに盛り上がりを見せてくれま
した。敵役にしては妙に好感度抜群だったカイン、
一発衝突で散らすには惜しい人物でしたが、彼のお
陰で陽翔は更にもう一段階強くなれた感じでした。
 六人なのに何故『七星』? の疑問もエリシアの
謎と共に解かれ、旭姫救出前にやり残してるのはク
ライヴだけかな。次辺りで見られるでしょうかね。


既刊感想:

妹さえいればいい。8

[著者:平坂読/イラスト:カントク/ガガガ文庫]★★★

妹さえいればいい。 8 (ガガガ文庫 ひ 4-8)

妹さえいればいい。 8 (ガガガ文庫 ひ 4-8)

 今回、作家側の心情で特にぐっと来たのが、82
頁の新刊観察時の春斗のシーンで、書き手の方の気
持ちが春斗の思いの中に切実に込められているから
こそ、ずっしりと重く心に響くものがありました。
 あとは伊月のアニメ化発表前のトラブルを筆頭に、
細々と色々な動きはあって、どれもこれも堪能させ
て貰えましたが、一番は千尋の件でしょうか。初期
の頃から好きなキャラだし、満を持してという感じ
でようやく性別偽っている件に大きな動きが見られ
るようになると、やっぱり気になってしまいます。
 どう炸裂させるんだろうかと考えては嫌な汗がじ
わりと滲ん来るのですが、千尋自身も本腰入れて向
き合いつつあるので、じっくり見守りたいですね。

既刊感想: