SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?2 堕天の翼

[著者:細音啓/イラスト:neco/MF文庫J]★★

 四種族英雄と順番に相対する展開が出来上がりつ
つあります。が、順当に進んでいるように見えて全
くその実感が湧かないのは、まるで予定通りに事が
運んでいるのを帳消しにするような、正史と別史を
行き交う膨大な謎を孕んでいる、からでしょうか。
 これまで得た情報を素直に受け入れるなら、残り
の四種族英雄の内のいずれかが“主犯”なのでしょ
うけど。カイも自身が単純に鵜呑みにする事に懐疑
心を抱いているようですし、結局は「伏せられてい
る謎が多過ぎなんだよ~」ってなるわけですね。
 焦らされるのを堪能するのも楽しみのひとつと言
う事で。リンネにも多分何かあるでしょうし(“輪
廻”の言葉が絡んでるのは偶然かどうか、とか)。

既刊感想:

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 運命の剣

[著者:細音啓/イラスト:neco/MF文庫J]★★★

 初っ端から心を鷲掴みされました。自分にとって
好きな要素が一杯詰まってたからなのか、何がこう
も気持ちを掻き立てるのかハッキリ表現出来なんで
すけど、とにかく強烈に心惹かれる物語でした。
 カイが終盤でこうだと明確に思い至るまでは、確
かに彼だけ別の平行世界に飛ばされたような感覚で
したよね。実際にはまだまだ到底手の届かない場所
に“真実”とやらが存在するようで、それでも現時
点で実に様々な想像予測を巡らせる事が出来る、そ
う言った描き方が面白さに繋がっていたのかなと。
 最初はカイ=英雄シドと考えてましたが、さすが
に突飛過ぎるか。シドについても正史でも今でも不
明点が多いので、出自も含め色々気になる所です。

ぼくたちのリメイク3 共通ルート終了のお知らせ

[著者:木緒なち/イラスト:えれっとMF文庫J]★★★

 あまりに衝撃的過ぎて、声に出して何も言葉に出
来ないとはこう言う事なのかと。恭也に最後何が起
こったのか? 状況描写から何となく察する事も可
能でしたが、続きを待ってみないと「一体何が起こ
った?」から進めず、結局何とも言えませんよね。
 そもそも十年前に戻った事自体、説明の付かない
異常現象なわけで。前向きに再生機会を得て意気込
んだとしても、常に“何が起こるか分からない”危
機感は保ち続けるべきだったのかも知れません。
 まあそれを絶望真っ只中の十年後から来た恭也に
強制するのは酷な事だと思いますが、今回どうにも
不穏な空気に満たされてましたからねえ。果たして
ここからどう続くのか、全く予想が付かないです。

既刊感想:

ぼくたちのリメイク2 十年前に戻って本気になれるものを見つけよう!

[著者:木緒なち/イラスト:えれっとMF文庫J]★★

 未来のクリエイター達との普段の日常で、実はそ
んなに恭也が見る“十年前”の実感は無くて。それ
はつまり、恭也がこの場所で充分に馴染めている証
なのかなあと、そんな風に思ったりもしています。
 ただ、不意に十年後を意識したり、十年間培った
経験値を引き出されたりすると、途端に胸が締め付
けられるような感覚に陥ってしまう。望まぬ道であ
ったとしても、ふとした切っ掛けで十年先の自分を
思い返してしまう様な気持ちなのかも知れません。
 今の所は芸大生活も充実していて順風満帆……と
言いたい所ですが。ちょっと気になるのは、他者の
為に労力は尽くしても、じゃあ恭也自身はどうなの
かと。行く先が見えない漠然とした心配事ですね。

既刊感想:

14歳とイラストレーター4

[著者:むらさきゆきや/イラスト・企画:溝口ケージMF文庫J]★★

 マリィの態度にイラッと来て、白砂の自称友人達
とやらの手前勝手な言動にイラッとさせられ、やけ
にイライラが募る内容で妙に疲れてしまいました。
 作品の完成度を高める為に、お互い納得し合って
のリテイク5回なら分かりますが……そもそも身勝
手な自分の気分で締め切り破ってる側に、リテイク
出す決定権を有する事が許されていいの? って異
論が思わず噴出しちゃいまして。売れてる作家様に
は“格”とやらがあるから? どうにも白砂側から
眺めてるとマリィの印象が良くなくて参りました。
 一方で、悠斗の白砂を救う言動は非常に好印象で
した。予期せぬ救いを求める声に対し、なかなかこ
んな風に即座に行動出来ないものだと思いますよ。

既刊感想: