SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

恋愛至上都市の双騎士

[著者:篠宮夕/イラスト:けこちゃ/富士見ファンタジア文庫]★★

恋愛至上都市の双騎士 (ファンタジア文庫)

恋愛至上都市の双騎士 (ファンタジア文庫)

 第30回ファンタジア大賞『金賞&審査員特別賞』受賞作。

 見てるこっちがドン引きする程の、鬱陶しいいち
ゃいちゃかと身構えつつ想像していました。実際に
はそんなでもなかったような印象で。そもそも勇也
は恋愛感情を抱いているわけじゃなく、藍葉は恋愛
感情を絶対知られないように振舞っているので、自
然に人目をはばからずいちゃいちゃとはなり難いで
すよ。互いに与えられた役割をこなして頑張ってい
る上での“いちゃいちゃ”みたいな。そう言う意識
で描かれていたので受け入れ易かったですけどね。
 ドタバタな名コンビから、真のいちゃいちゃバカ
ップルにレベルアップする為には、やっぱり勇也が
藍葉をどう思っているか次第なのかなあ。次は勇也
の藍葉に対する気持ちを更に見せて欲しいかも。

カネは敗者のまわりもの

[著者:玖城ナギ/イラスト:Mika Pikazo富士見ファンタジア文庫]★★

カネは敗者のまわりもの (ファンタジア文庫)

カネは敗者のまわりもの (ファンタジア文庫)

 第30回ファンタジア大賞『大賞』受賞作。

 金の力で何でも買える。強気な誇張と思われてい
た言葉が、大袈裟でも何でもないただの真実として
描かれているのを終盤で目の当たりにして、背筋が
凍るようなゾクッとした感覚を味わわされました。
 半ば勢い任せで一気に押し切るような雰囲気だっ
たので、細かい事を気にすると、金融絡みの部分に
関しては時折もうちょっと把握し易くやわらかい説
明が欲しいとも思いましたが。それでも、有無を言
わさず畳み掛ける圧倒的な“カネの力”による蹂躙
描写は、足りない所を補って余りある良さでした。
 これで夢を奪われた資産家達が、連鎖的に救われ
る手立ては見つかったわけですけど、敗斗自身が救
われてない事から続く見込みはまだあるのかな?

暗殺拳はチートに含まれますか?2 ~彼女と目指す最強ゲーマー~

[著者:渡葉たびびと/イラスト:きただりょうま/富士見ファンタジア文庫]★★

暗殺拳はチートに含まれますか?2 ~彼女と目指す最強ゲーマー~ (ファンタジア文庫)

暗殺拳はチートに含まれますか?2 ~彼女と目指す最強ゲーマー~ (ファンタジア文庫)

 ライバルヒロイン登場。既に鋭一と葵は恋人同士
として付き合っている関係なので、その間に割り込
むのはちと厳しいか? と感じていましたが、葵の
性格のお陰で凄く良い方向へ進んでくれたのではな
いでしょうか。アカリがどんなに剥き出しの対抗意
識を燃やした所で、全く効かず響かずな葵が相手で
はね。ゲーム仲間として、切磋琢磨するライバルと
して、そして何より親友として、葵とアカリの関係
が徐々に深まってゆく描写は実に良いものでした。
 話の本筋はゲーム内のトーナメント戦。やや駆け
足気味な印象でしたが、全国大会の出場権を賭けた
前哨戦と思えば、これ位で丁度良いのかな。一戦ご
との密度の濃さは全国大会に期待する事にします。

既刊感想:

暗殺拳はチートに含まれますか? ~彼女と目指す最強ゲーマー~

[著者:渡葉たびびと/イラスト:きただりょうま/富士見ファンタジア文庫]★★

暗殺拳はチートに含まれますか? ~彼女と目指す最強ゲーマー~ (ファンタジア文庫)

暗殺拳はチートに含まれますか? ~彼女と目指す最強ゲーマー~ (ファンタジア文庫)

 第2回カクヨムWeb小説コンテスト
 現代ファンタジー部門『大賞』受賞作。

 VR格闘ゲームのプレイヤーに対する勝手なイメ
ージとして、“ゲーム内じゃ最強だけど現実世界じ
ゃへなちょこ”、みたいなのがあったのですが、鋭
一や葵によってそのイメージが覆されたのがちょっ
と新鮮な印象でした。葵は暗殺拳の継承者だからま
だ分かりますけど、鋭一の反射神経ってゲームで鍛
え上げられたものですよね? それが現実の強さに
反映されている辺りが興味深く感じられました。
 最後に鋭一と葵が約束を交わしたように、おそら
く『プラネット』内でデュエルでの頂点を目指して
行く事になるのでしょう。サドンデスのみに身を置
いていた鋭一が、手応えを掴んだ所で果たして継続
して勝利する事が出来るのか。楽しみな所です。

放課後は、異世界喫茶でコーヒーを2

[著者:風見鶏/イラスト:u介/富士見ファンタジア文庫]★★★

放課後は、異世界喫茶でコーヒーを2 (ファンタジア文庫)

放課後は、異世界喫茶でコーヒーを2 (ファンタジア文庫)

 リナリアやアイナを始めとした常連客や、新たに
喫茶店を知った珍客達を、マスターのユウが相手を
しながら交流を深めて行くのが物語の主な流れ。そ
こに加えて今回は、「将来何になりたいのか?」と
か「どんな道に進むべきなのか?」など、ユウから
沸き上がり周囲に問いかけていた疑問が、大きなテ
ーマとして盛り込まれてように感じられました。
 しかし意外だったのが、将来的には“元の現実世
界に戻りたい”気持ちが全くユウから聞かれなかっ
た事で。真っ先にその方法を探したいと声に出るの
かと思っていたのですが、未練はないのか、あえて
考えない事にしているのか。異世界交流も深まって
来たので、前者寄りの感情なのかも知れませんね。

既刊感想: