SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

美少女作家と目指すミリオンセラアアアアアアアアッ!!5

[著者:春日部タケル/イラスト:Mika Pikazo角川スニーカー文庫]★★

 鳴海流生って、作家の為、編集者の為、より良い
環境を提供して“楽しく”仕事をして貰う、その為
に最大限に尽力している……ように自分の姿を意図
的に“欲しい相手”に見せている。だから、最初は
「都合のいい話だ」「理想論だ」と警戒心を抱いた
としても、気付けば彼の術中にはまってしまう。実
際第三者目線で眺めている筈のこっちも、鳴海の話
術にまんまと惹き込まれそうになってましたから。
 呑まれずに踏み止まって必死に抵抗して、間違い
だと“作品”で真っ向から異議を突き付け有無を言
わせなくした清純と天花を賞賛すべきか。最後のあ
れはちょっと強引過ぎる進行な気もしましたが、ク
ライマックスの熱い演出と思えば有りなのかな。

既刊感想:

1/2―デュアル― 死にすら値しない紅

[著者:森バジル/イラスト:カスカベアキラ角川スニーカー文庫]★★★

 第23回[秋]スニーカー大賞『優秀賞』受賞作。

 伴が「死にたい」と希望する言葉。その彼女の事
情をまだ知らない頃はただ単純に、この世界の倫理
に反する存在してはならない『偽生者』だから、そ
の中でも極めて特殊な“不老不死”だから、永遠に
生きる事からの解放を求めていたから……等々、そ
の辺りから漏れ出ているものだと思っていました。
 しかし、後になって友景から受けた想像を絶する
醜悪な仕打ちの数々を、伴自身の回想と言う形で語
られた時、彼女の口から漏れ出る「死にたい……」
の言葉が途轍もなく重く、そしてどうしようもない
切実さが込められたものへと変わっていました。
 ずっとしっくり来なかった限夏の偽生者への異様
な執着も、出生を知って充分に納得出来たかなと。

デスペラード ブルース

[著者:江波光則/イラスト:霜月えいとガガガ文庫]★★

デスペラード ブルース (ガガガ文庫)

デスペラード ブルース (ガガガ文庫)

 家族を惨殺された現場に居合わせられなかった事
を、こんな風に後悔してしまう白夜。本人もあまり
認めたくないながらも自覚しているように、相当歪
んでいる、と思わされる様相でした。暗殺術を体得
していながら、自分の意思では積極的に振るう事が
出来ず、黒曜に判断を振ってみる度にその弱さを指
摘されて、中途半端な曖昧さを滲ませてしまう。
 白夜の生き方ってのは凄く興味を引かれるもので、
同時に「どうにでもなれ」的な投げやり気質な“脆
さ”に危機感も抱いてしまう。怨恨による復讐とは
違っていて、力を振るえなかった後悔を払拭したい
かと言えばそこら辺も曖昧で、白夜自身が何を成し
遂げたいのか惑っている最中のような印象でした。

西野 ~学内カースト最下位にして異能世界最強の少年~ 4

[著者:ぶんころり/イラスト:またのんき▼MF文庫J]★★

 海外旅行の続き。太朗助と西野のクラスメイト達
に対して恐怖を振り撒いた変態ゴスロリレズ少女、
同じく西野のストーカー変態性癖ローズとの変態対
決。西野の意見そっちのけでヒートアップするのか
と思いきや、割とあっさりゴスロリの方がご退場。
 それよりも、ゴスロリの恐怖から解放されたチン
ピラ共からの逃走劇の方が主だったかも。目まぐる
しい場面転換は意図的なもののように感じられまし
たが、慌ただし過ぎて少々追うのに疲れたかな? 
 ただ、性根はヘタレ男な印象だった太朗助の意外
な男気溢れる活躍と、委員長志水の西野に対する感
情変化などは良い感じでした。ここから学校生活に
戻り、西野の立場に何か変化が訪れるのかどうか。

既刊感想:

ラブコメの神様なのに俺のラブコメを邪魔するの? だって好きなんだもん

[著者:三月みどり/イラスト:なえなえMF文庫J]★

 第14回MF文庫Jライトノベル新人賞『佳作』受賞作。

 めちゃくちゃ質の悪い神様。優吾からすれば、散
々飽きる程何度も何度も何度も「好きな人がいるか
ら諦めて」と真正面から誠意を込めて断っているの
に、それでも諦め切れずに付き纏われているんだか
らもう堪ったもんじゃないと思いますよ。いくら可
愛い顔して「だって好きなんだもん」と言われたっ
て、いい加減許容出来ないものもあるでしょうよ。
 月宮アテナののウザさを存分に見せ付ける性質の
お話だと言うのは頭で理解出来ていても、これはち
ょっと受け入れ難いものがありました。とにかく物
理的に告白を失敗させられている(それも今回終え
て19回)優吾が不憫で仕方がない。もし優吾に陽
鞠の本性が発覚したら状況も変化するんだろうか。