SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動―

[著者:ミサキナギ/イラスト:れい亜/電撃文庫]★★

 第25回電撃小説大賞『銀賞』受賞作。

 世間一般の常識として、『白檀式』は忌まわしい
災厄の象徴であり、それらオートマタシリーズを開
発した白檀春海は諸悪の根源として認識されてしま
っている。カノンがどれだけの頑張りや努力を積み
重ね、白檀式の波動歯車を用いたオートマタが安全
かつ有用であると訴えかけたとしても、残念ながら
奥深くまで染み付いてしまった常識は到底覆りそう
にないんじゃないかなあ、と言った感じですよね。
 この一件を経て、水無月は自分が“不適合”と言
われた事の意味、そう告げた言葉に込められた晴海
の真意、そしてかつての悲劇・白檀式暴走事故の真
相を知ります。命懸けで手にした真実が、果たして
前を見据えて進むカノンの助力となるのかどうか。

つるぎのかなた

[著者:渋谷瑞也/イラスト:伊藤宗一電撃文庫]★★★

つるぎのかなた (電撃文庫)

つるぎのかなた (電撃文庫)

 第25回電撃小説大賞『金賞』受賞作。

 再会当時の段階で、悠が快晴を思いっ切り忘れ去
ってた事が「嘘だろ?」ってなるくらい、この二人
って剣道を通じての想いと言う意味で“相思相愛”
だよなあって思わされました。最後まで辿って改め
て物語を思い返してみると、二人の過去をそれ程深
く追究しているわけではなかった気がするのですが、
それでも過去からの因縁で互いを激しく意識してい
るのが物凄い熱量を伴いながら伝わって来ました。
 最初の内は、悠の剣道に対する態度がどこから来
ているのかハッキリせず、少々もやっとした感じも
抱きましたが。感情を理解してからはスッと受け入
れられるようになりました。一応勝負は付きました
が、互いにまだまだ発散し足りなさそうですよね。

謎のおっさんオンライン1 世界で一番やべぇヤツ

[著者:焼月豕/イラスト:Aji/レジェンドノベルス]★★

謎のおっさんオンライン 1 世界で一番やべぇヤツ (レジェンドノベルス)

謎のおっさんオンライン 1 世界で一番やべぇヤツ (レジェンドノベルス)

 オンラインRPGで、プレイヤーキャラの名前が
「謎のおっさん」と言うだけで、実は別に謎でもな
んでもなくリアル素性も後々ハッキリ明かされるし
で紛らわしいネーミングを……と言った具合です。
 「謎のおっさん」てPCが新規オープンのオンラ
インRPGで無双する、大雑把に言うとただそれだ
けの話だったような気もします。ストーリー重視よ
りキャラクター重視な感じで、とにかく謎のおっさ
んが魅力的かつ強烈な存在感を出して、物語を引っ
張ってるって言うんでしょうか。見境なく傍若無人
に大暴れしているようで、初心者プレイヤー困って
いる時は謎のおっさん流に豪快に手を差し伸べてい
たり。とにかく妙に惹き付けられるんですよね。

ダンジョン・シェルパ 迷宮道先案内人2

[著者:加茂セイ/イラスト:布施龍太/レジェンドノベルス]★★

ダンジョン・シェルパ 迷宮道先案内人 2 (レジェンドノベルス)

ダンジョン・シェルパ 迷宮道先案内人 2 (レジェンドノベルス)

 ダンジョンと隣り合わせで繁栄した都市とか町と
か村などは、ダンジョンが攻略されて“用済み”と
なってしまえば、それまでの恩恵を失い繁栄は途切
れてしまう。当たり前のようにずっと存在すると思
い込んでいたものも、実際にはいずれ終わりの時が
訪れる。ダンジョンに対してそれを目の当たりにし
て、何だか色々と複雑な気分になりました。冒険者
達は栄誉を追い求めるけれど、町の統治者からすれ
ば恩恵は長く受け続けたいので、そりゃあなるべく
なら“攻略されたくない”気分にもなるよなあと。
 窮地からの続き、で今回また急展開で続く。終盤
の展開に驚きつつ、ロウに関してホッと胸を撫で下
ろしつつ、ユイカの現状がめちゃくちゃ気になる。

既刊感想:

女王陛下の異世界戦略2

[著者:第616特別情報大隊/イラスト:巖本英利/レジェンドノベルス]★★★

女王陛下の異世界戦略 2 (レジェンドノベルス)

女王陛下の異世界戦略 2 (レジェンドノベルス)

 圧倒的な物量と凄惨を極める蹂躙劇から一転、ま
るで異国の観光名所を巡る旅行を満喫する、実に仲
睦まじい三姉妹のようじゃないですか。なにこの平
穏で和やかな雰囲気。マルーク王国殲滅時と比べて
余りの落差に戸惑いを隠し切れませんでしたが、一
時の清涼剤な感じで良いもの拝ませて貰えました。
 未知なる異形の群れと認識されているアラクネア
軍勢と、果たして交渉に応じてくれるのか? この
辺りが女王グレビリアの策に対する疑問で、結局余
計な横槍で破綻してしまい、今回も蹂躙劇場となっ
たわけですが。しかしながら“交渉”と言う選択肢
も新たに提示され、今後もし他勢力とそうなったら
また違った面白味が得られそうな気もしています。

既刊感想: