SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince

[著者:葉月文/イラスト:フライ/電撃文庫]★★

あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince (電撃文庫)

あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince (電撃文庫)

 燈華がミラクーティアに願うさらに前、叶羽もミ
ラクーティアの“星の幸魂”に願っていたんだった
かどうだったか。何か曖昧な反応で避けられたよう
な気分になりましたが。昨年蕾が咲かなかったのっ
て、叶羽の願いが届かなかったから、とか言ってい
たような……いや、これだけ気になってしまうのは、
ラストのあのやり取りがあったからなんですよね。
 その辺りもちょっとまだよく理解出来ていません
が、もっと詳細まで語られないと何とも言えない所
です。分かっているのは、叶羽と燈華は結末まで辿
り着く事が出来たけど、叶羽自身の過去と姉・彩羽
との物語はまだ何ら始まっていないと言う事。ヒロ
イン変更でどう物語が綴られて行くのでしょうか。

利他的なマリー

[著者:御影瑛路/イラスト:有坂あこ/電撃文庫]★★

利他的なマリー (電撃文庫)

利他的なマリー (電撃文庫)

 自分の価値を他人と比較して、劣等感に塗れて生
き苦しい思いを背負い続けるのならば、カスミシテ
ィを出てしまえばいいのに……と、口にするだけな
ら容易い事なのでしょうけどね。途中で視点が切り
替わって以降のユウスケの感情に触れて、ふとそん
な風に言葉を投げ掛けたくなってしまいました。
 もっとも、生まれた時から自分の価値を売買する
事を常識とされて来た者にとって、そんな一方的に
「嫌なら環境を変えろ」と言われても、そう簡単に
受け入れられるものでは無いのかも知れませんが。
 自分を犠牲に他人を救う、マリーのそれは時に行
き過ぎているようで非常に危うい。だけど、強固な
意志はなにものにも変えられないのでしょうね。

君がいた美しい世界と、君のいない美しい世界のこと

[著者:神田夏生/イラスト:Aちき/電撃文庫]★★★

君がいた美しい世界と、君のいない美しい世界のこと (電撃文庫)

君がいた美しい世界と、君のいない美しい世界のこと (電撃文庫)

 最後まで辿り着いた時点でまず一言、「三日月緋
花里ってすげえな……」って、思わず声が漏れ出て
しまいました。最初からずっと主人公視点で苦難の
道程を追い続けていたから、ユウトに対しての思い
入れがかなり強まっていた筈なのに、それでもユウ
トに「よく頑張ったな」よりもヒカリに「よく彼を
導いてくれた」の方が先に出てしまいましたね。
 序盤の頃は、ヒカリの遺言の内容があまりに突拍
子無さ過ぎて、何で受け入れて行動に移せるのか、
と首傾げていたものでしたが。過去回想による“二
人の積み重ね”に触れて、「ああ、だから信じ抜く
事が出来たのか」と。ラスト直前の“もしも”、そ
して続くラストシーンは本当に素敵なものでした。

放置された花嫁は、ただ平穏に旅がしたい

[著者:Hana/イラスト:くろでこ/BKブックス]★★

放置された花嫁は、ただ平穏に旅がしたい (BKブックス)

放置された花嫁は、ただ平穏に旅がしたい (BKブックス)

 これ、仮にカイロスが真っ先にシエルに求婚した
としても、どの道フラれてたでしょ。断片的な情報
を掻き集めてみて、シエル(セシル)とエヴィル・
ロー(だんなさま)は、かつて相思相愛だったみた
いだし。真っ白な状態のシエルが突然の求婚を躊躇
いなく受け入れたのは、そうするのが当たり前の確
定事項だったからじゃないのかなあ。まあ何せシエ
ルのそれまでの記憶がすっぽ抜けてるから、曖昧で
ふわっとした手応えでしか掴めませんでしたけど。
 転生体なのか、それとも長命で過去から生き続け
て来た同一人物なのか。エヴィル・ローやカイロス
との過去の関係や、『月の王』と『海の女神』の悲
恋についてなど。特に気になるのはこの辺りかな。

ジェノサイド・オンライン 極悪令嬢のプレイ日記

[著者:たけのこ/イラスト:久坂んむり/BKブックス]★★

ジェノサイド・オンライン 極悪令嬢のプレイ日記 (BKブックス)

ジェノサイド・オンライン 極悪令嬢のプレイ日記 (BKブックス)

 母親に正しい方へ導かれて、初めて「自分が異常
者である」と理解する。日常生活で他人を蹂躙する
事が“悪いこと”で“やってはいけないこと”だと
微塵も思わないので、そこに自覚があるとは言い難
く、ただ母親か誰かに言われて、客観的に「ああ、
そうなんだ」と理解しているような感じでした。
 ゲームの中で、VRMMOの中であっても、人間
が人間を殺す様子は平然と眺めていられるものでも
ないのですが。主人公の玲奈がごく当たり前の様に
淡々と作業的に殺戮をこなすものだから、忌避する
のとは逆に魅入ってしまう部分もありました。まあ
ゲームで鬱憤晴らすに留まっている内は幾分マシで
すが、歯止めを掛ける存在が居ないとどうなるか。