SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

86―エイティシックス―Ep.6 ―明けねばこそ夜は永く―

[著者:安里アサト/イラスト:しらび/電撃文庫]★★

 腰を据えての対話をお膳立てしてあげたい、と心
底思いましたが。それでもシンとレーナの互いの目
線が合わない事には、どれだけ時間を掛けて向き合
った所で結局すれ違ったままだっただろうなあと。
 むしろ戦闘の最中で、シンなら自分の生きる意味
や理由とは何か? そしてレーナならどんな想いを
向ければシンと隣り合えるのか? などを極限まで
考え悩み抜く事が出来たからこそ、互いの気持ちが
通じ合えて大切なモノを掴めたのかも知れません。
 シンは今回特に「変わったな」と感じられる箇所
が色々あったんじゃないかな。もし変われてなかっ
たら、高機動型との一騎打ちや無慈悲な女王との対
峙で生き抜けなかった。そんな風にも思いました。

既刊感想:

マッド・バレット・アンダーグラウンド

[著者:野宮有/イラスト:マシマサキ/電撃文庫]★★

マッド・バレット・アンダーグラウンド (電撃文庫)

マッド・バレット・アンダーグラウンド (電撃文庫)

 第25回電撃小説大賞『選考委員奨励賞』受賞作。

 主人公ラルフの中に一本の境界線が走っていて、
片側は真っ当な人間の生き方、もう片側は非人道な
生き方。そのどちらにも振り切れず、常に不安定な
足場の境界線上でぐらぐら揺れながら歩き続ける。
 一見して実に人間的な感情を持ち合わせているよ
うでいて、実はどっち付かずなまま正常な精神を保
ち続けていられる事こそが最も異常、と言う存在。
 正規の手順を踏まずに異能を埋め込んだせいか、
普段のラルフに便利能力以上の凄味があまり感じら
れない。リザの助力あって辛うじて窮地を凌いでい
るような。同じ『銀使い』が相手だと余計に力量差
が露呈してしまう。それでも生き残っているのは、
正常であろうとする異常な精神力の賜物なのか。

戦闘員、派遣します!3

[著者:暁なつめ/イラスト:カカオ・ランタン/角川スニーカー文庫]★★

戦闘員、派遣します!3 (角川スニーカー文庫)

戦闘員、派遣します!3 (角川スニーカー文庫)

 本来の目的って何だったっけ? アジト建設はい
いけど、現地定住とかではなかったような……とか
何とか。結構色々忘れていて何となく手探りな感じ
で読み進めてました。登場人物達はどいつもこいつ
も個性が強過ぎるんで、割と覚えてましたけど。
 ラストの命令書なるものに目を通して、ようやく
「そういやこんな事やってたな」と。でも、ハッキ
リ言って全然任務が捗ってないじゃねえか! とツ
ッコミ入れたくなりましたよ。アンデット祭りで和
気藹々と戯れてただけでしょ。何やってんのこの人
達。まあ馬鹿馬鹿しく面白可笑しかったですけど。
 あと最後のアジトの末路で「何で?」ってなった
んだけど。続きで何か進捗あるんでしょうかね。

既刊感想:

英雄の娘として生まれ変わった英雄は再び英雄を目指す4

[著者:鏑木ハルカ/イラスト:晃田ヒカ/角川スニーカー文庫]★★

 マクスウェルにだったら、正体バレても下手に拡
散される心配もないだろう……と思ってましたが、
代わりにそれをネタに弄ばれてしまっているニコル
(レイド)を見ながら、「やっぱり誰にもバレない
のが一番だったな」としみじみ思わされました。
 今回みたいな疑似変装まで習得出来ているんだっ
たら、『完全変化』を習得するのもそう遠くない事
なのかなあ。それともそんなに容易い事ではないの
かどうか。レイドの精神が前面に出ているので見失
いがちだけど、ニコルとしてはまだ十歳だから、魔
法能力も徐々にゆっくりと成長して行くのかも。
 しかし、微妙にズレながらも、コルティナがどん
どん正解に近付いて来てるのは気になる所だなあ。

既刊感想:

特殊性癖教室へようこそ3

[著者:中西鼎/イラスト:魔太郎/角川スニーカー文庫]★★

特殊性癖教室へようこそ3 (角川スニーカー文庫)

特殊性癖教室へようこそ3 (角川スニーカー文庫)

 同年代の男で、恭野の下着姿をエロい目線で見て
しまうのは正常な反応で、特殊性癖と呼べるのはむ
しろ何も反応しない方なのではないだろうか。伊藤
はどうだろう、年齢差を考えるとアウト? ロリコ
ンと断ずるのは大目に見てあげたい気もしますが。
 これまでと同様にエロスは相変わらず絶好調、あ
とは妙にサスペンス仕立て。ずっと謎のまま引っ張
り続けて来た恭野の特殊性癖が、遂に明かされてし
まいました。名簿を見て「どれかな」とワクワクし
ていた身としては、予想外の展開でしたけど。と言
うか、もう特殊性癖を超えて超能力の域じゃないで
すかこれ。真剣なんだか異常なんだか判断に困る最
終決戦? は意外と白熱した盛り上がりでした。

既刊感想: