SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 9.双姫乱舞

[著者:海道左近/イラスト:タイキ/HJ文庫]★★★

<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 9.双姫乱舞 (HJ文庫)

-インフィニット・デンドログラム- 9.双姫乱舞 (HJ文庫)

 時折ゲームの中の世界だと言う事を忘れてしまい
がちになるのは、歴史の授業を受けているかの如く
設定の奥深さを語って聞かせられているからか。そ
れともNPCの枠を超えた住人達、『ティアン』の
血肉の通った姿を見せ付けられてしまうからか。
 序盤の魔将軍ローガンの暴虐を眺めていると、虚
構のNPCと思わされ、どんな甚大な被害であろう
とも“所詮はゲームの中の出来事”と思わされてし
まう。ところが、同様にレイを通じで世界を見てい
ると、歴史を積み重ねた現実の世界に見え、作られ
た存在が現実の人間のように見えてしまう。障害と
なる存在を討ち、世界や人々を救わなければならな
い。気持ちが強く揺さぶられるエピソードでした。

既刊感想:

魔王を倒した俺に待っていたのは、世話好きなヨメとのイチャイチャ錬金生活だった。3

[著者:かじいたかし/イラスト:ふーみ/HJ文庫]★★

 魔王討伐以降、あまりイザヤに“魔”の存在が絡
む事って無かったような気がするのですが、どうだ
ったかな? 過去のやり取りを思い起こさせるよう
な、そう言ったイザヤに対して刺激を与えるような
ものとか。今回『魔神』なんて悪魔の上位存在が突
如絡んで来たので、一時イチャイチャ成分そっちの
けでどうってしまうかと心配してしまいました。
 意外とあっさり退けたと言うか、魔神がイザヤの
実力を把握して自ら身を引いたようにも見えました
けど。イザヤの過去が絡んだ話は興味ありますが、
シリアス寄りに傾くとイチャイチャが減少しそうで
どうかなあ、といった感じです。ヨメとの関係は順
調に進展してるのでその点は心配無さそうですね。

既刊感想:

お知らせ:最強魔王はダンジョン経営で荒稼ぎを始めます!

[著者:坂本一馬/イラスト:yaman**/HJ文庫]★★

 簡単過ぎず難し過ぎず、バランス取りは慎重に、
初心者には入り易く上級者には飽きさせず、より多
くのプレイヤーが共に楽しめるように……ゲームメ
イキングって過酷な労働だよね、とか。制作者側の
気遣いやら苦心やらを存分に思い知らされるお話。
 魔王がダンジョンをプロデュースで人間と魔物の
間を取り持つ、みたいな。元々現魔王レグナンドの
代で両種族の共存関係は既に成り立っていたわけで
すが、互いに相手を理解しているようで、潜在的な
“種族の壁”というものはどうやっても取り払えな
い。如何にして付き合う際に抱く壁を最小限に抑え
て共存して行けるか。発案者であるレグナンドの裏
方での多大な苦労が色々報われて良かったですね。

異世界でタコ焼き屋はじめたけど、わりと簡単につぶれた

[著者:七色春日/イラスト:キンタ/HJ文庫]★★

 第11回HJ文庫大賞『銀賞』受賞作。

 何か自分で行動を起こさなければ生き抜いて行け
ない、と切羽詰まって追い込まれた状況が大胆な一
歩を踏み出す切っ掛けになったのかも知れない。現
実世界よりも、異世界の方がそう言った決断を下し
易い、と言うより決断せざるを得ない状況に陥って
しまいがちなのかなあ、と思ったりもしました。要
は高校生の年代で個人起業の道を切り開くって思い
浮かんでもなかなか行動には移せないよね、と。
 その点で、右も左も分からない異世界で既に一度
大成功を収めている平助は、もうその段階で凄いと
思うんですけど、その後落ちぶれてから諦めずに這
い上がろうとしている所が更に凄い。理不尽な仕打
ちを跳ね返す商才と創意工夫は見事なものでした。

ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで3

[著者:篠崎芳/イラスト:KWKM/オーバーラップ文庫]★★

 終盤の一幕、綾香への露骨な嫌がらせを咎められ
た女神ヴィシス、真っ黒なはらわた煮え繰り返って
るんだろうなあざまあみろ。人知れず発狂するシー
ンとかも追加で見てみたかったですが。とりあえず
女神の陰湿さに臆せず口を挟める高雄姉妹や、その
場で何かを感じて指南役を買って出たベインウルフ
など、綾香に対する女神の苛めの抑止力になってく
れそうな存在がホッと心を落ち着かせてくれます。
 一方で灯河達。こっちはもう全く危なげ無し。想
定外のスキル制限が生じても平常心は一切崩れない
ので、安定感しか見当たらないですね。その位揺る
ぎない絶対的自信に満ち溢れているので、金棲魔群
帯ではもう少しハラハラさせられてもいいかも?

既刊感想: