SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。13

[著者:渡航/イラスト:ぽんかん(8)/小学館 ガガガ文庫]★★

プロム中止の危機
 最良の状態に築き上げて来た盤上の駒を、ボスキャラ・雪乃の母親に軽く吹き飛ばされる。これに対し、雪乃は自力で覆したい。一方で八幡は黙って見守る事が出来ない。この流れで進んだら果たしてどうなるか?

誰が引き留めても止まらない
 雪乃に対するイメージ、同時に八幡に対するイメージでもある。こうして見ると、結衣だけは何となく歪んだ関係の外に居るようでいて、でもやっぱり同じように含まれる。終盤の陽乃とのやり取りで強く感じられた。もしかして、気付けなかっただけで、結衣が一番そんなイメージだったのかな。

共依存
 リセットする為には、どうしても一度全てを壊してしまわなければならないのか? 八幡と雪乃との間では、互いに全部納得は出来なくても、答えは出たような雰囲気だったけど、どうだろう? この二人、相変わらずハッキリものを語ろうとしないけど、語らなくても充分理解し合えているじゃないかよ、と。

結衣の願い
 雪乃の願いが結衣へと繋がる。結衣も言葉を濁し続けているので、これもハッキリ掴めてないんだけど。後はここが語り尽くされて、奉仕部の行方が決定付けられて……と言う流れになるんだろうか。

既刊感想:7.56.51010.51112

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12

[著者:渡航/イラスト:ぽんかん(8)/小学館 ガガガ文庫]★★★

プロムナード
 舞踏会の略称? 海外の高校で学年最後に開かれるダンスパーティー? 派手な卒業パーティー? だそうな。ユキペディアによると。一番分かり易いのは『卒業生を送る会』って表現なのかなあ。それよりもっとお洒落度高い系みたいですが。これを生徒会で企画する→いろはが奉仕部に縋る、いつものパターン。

雪乃の決断
 ところが、いつもと違う流れだったのが、雪乃が奉仕部としてではなく“個人”で、八幡と結衣の助力を得ずに依頼を受けた、と言う事。母親との何らかのやり取りの影響か、現状からの変化を求め、もがきながらも前へ踏み込みたい意志がひしひしと感じられた。

それでも八幡は無視出来ない
 どうしようもない。どうにもならない。八幡を見ていて、もうそんな言葉しか浮かばない。雪乃の気持ちを尊重するなら、黙って見守るのが自然な行為の筈なのに、八幡が本心を抑え付けたままそれをやると、逆に酷く歪んだ行為に見えてしまうから。どうしようもない。

指摘された三人の関係性
 まあ、知ってた。浮上させないように、うっかり言葉で言い表さないように、必死で押し込めてたものだから。八幡がふざけて言った『三角関係』だったら、むしろどんなに良かったか。そうしてまた、間違っていると思いながら同じ事を繰り返してしまうのか。

既刊感想:7.56.51010.511

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11

[著者:渡航/イラスト:ぽんかん(8)/小学館 ガガガ文庫]★★

バレンタインイベント
 いろはと三浦が「葉山君にバレンタインチョコ渡したんだけど受け取ってくれないから何とかして(強制)」と、奉仕部に乗り込んで来たのが発端。八幡に恋愛感情が絡む要素が皆無なので、そこは結局どうやっても手伝い的な立ち位置の傍観者となってしまう。

比企谷八幡の“本物”
 八幡が自身に問い掛け続け、陽乃から相変わらず心の内を容赦なく抉って来る指摘を受けて。改めて「本当に俺はどうしたいんだ」と、これまでより更に深い所で問い掛ける状況に追い詰められる。でも、やっぱりまだ掴めない。簡単には掴ませてくれない。

由比ヶ浜結衣らしさ
 バレンタインイベントの後。八幡、雪乃と三人で出掛けよう、と声を掛けたのが結衣で。もしかしたら「本当のあたしってこんなんだよ」と曝け出す事で、彼女自身が望む“進展”を二人に伝え、歩みを進めたかったのかも知れない。

雪ノ下雪乃の依頼
 結局3人とも「もごもご」したまま、ハッキリ口に出す直前で終わってしまった……。雪乃に関しては、おそらく母と姉と家族、それらとどう向き合うべきか? 正直な気持ちで行動を起こしたい、みたいな感情が絡んで来るのかなと。

既刊感想:7.56.51010.5

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10.5

[著者:渡航/イラスト:ぽんかん(8)/小学館 ガガガ文庫]★★★

冬の合間の短編集
 前巻のマラソン後のエピソード、なのかな? 基本的に奉仕部が顔見知りの依頼を受ける内容。と言っても、材木座といろはだけでしたが。表紙を飾るいろはが活躍……してたかどうか微妙な所ですが、目立ってはいましたね。

そのうち、材木座義輝にもできる簡単なお仕事が多分見つかる。
 なんだかんだ言って、材木座はラノベ作家目指す姿が似合っている気がする。もしかしたら、当時よりも書籍化の話が増えているWeb小説投稿に力を入れるのが良いのかも? もっとも、その前に打たれ弱さを克服しないと。更にその前に、閲覧者に読まれて感想貰えるようにならないと。

きっと、一色いろははお砂糖とスパイスと素敵な何かでできている。
 デートプランを考える行動、と言いながら八幡といろはでデートしてるようにしか見えない。以前葉山が指摘していたように、いろはが八幡を特別視しているのは間違いなさそう。油断して隙を見せられる相手、とでも言うんでしょうかね。

絶対に破れない締め切りがそこにはある。
 いろはの依頼。年度末までに生徒会予算を使い切るべく、フリーペーパーを発行しよう。そして奉仕部に奉仕してもらおう、と言う思惑を乗せた依頼……は表向きの話。本題は「締め切りって恐ろしい存在よね」と言う事実を突きつけられるお話。

こうして、比企谷家の夜は更けてゆく。
 受験目前で、精神的に追い詰められつつある小町の助力になりたいお兄ちゃん。何てことない普段の八幡と小町の日常風景の一幕。とても尊い。そして何よりも温かい。

既刊感想:7.56.510

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10

[著者:渡航/イラスト:ぽんかん(8)/小学館 ガガガ文庫]★★

冬休み、年末、年明け、正月、三学期
 そこに停滞していた空気が一挙に押し出されて行くような、むしろ停滞していたい八幡の背中を無理矢理押しまくるような、そんな時の流れの早さを感じました。これまで一所で立ち止まり、その度に苦痛を味わって来たので、今回は余計にテンポの良さが感じられたのかも。

比企谷八幡が踏み込めない領域
 雪ノ下姉妹と雪ノ下家と、葉山隼人と葉山家の密接した家族ぐるみの付き合い。過去の事はやっぱりハッキリ語ってくれない。それでも、これまでよりは幼馴染としての過去の雪乃と葉山の関係性や、葉山の人間性などが明るみに出てきたかな、と言う手応えもありました。

誰もが葉山の選択を知りたい
 煩わしい人間関係を自然消滅させたい方策……と言うわけでもなかったのか。葉山が最善と言い切る“何も選ばない”は八幡とは決して相容れない。ただ、年度末、3年生への進級が迫るに連れて“何かを選ばなければ前へ進めない”雰囲気が徐々に増しつつあるような気もする。

既刊感想:7.56.5