SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

由比ガ浜機械修理相談所

[著者:斉藤すず/イラスト:ryuga./電撃の新文芸]★★★

十五億円相当の“仲介役”
 多分、自分だったら氷雨とは違う意味で直視出来ない。震える。扱えない。まあ、そもそも“氷雨だからこそ”の依頼だったわけで、彼はTOWAの金銭的価値など、付き合う上で重視して考えはしないかな。

人間と機械の関係
 どれだけ人間と酷似していようとも、むしろ人間に限りなく近付く程に倫理的問題が立ち塞がってしまう。現実よりずっと進歩した未来、そうであっても容易く払拭出来ない根深いもの、と実感させられる。

遠い未来で逢いましょう
 何百年後かは分からないけど。当然その時には生きていないけど。遠い遠い先の未来で、いずれ実現しそうな夢とか映像とか風景とか、そんな魅力が目一杯盛り込まれている愛に溢れる物語でした。

黒猫のおうて!

[著者:八奈川景晶/イラスト:ぎうにう/富士見ファンタジア文庫]★★

ゴスロリ黒猫女流棋士爆誕
 いいのか? いいのか……。特に礼節を重んじる印象が強いせいか、「現場でその服装はありなの?」ってなりましたが。ただ、許容されるなら美弦の力を充分に発揮出来るからその方が良いんでしょうけどね。

同じ手が通用するとは限らない
 本当にね、出禁喰らわないか心配だよ。終盤の流れから関係者各位的にも「あり」と認められてるようなので大丈夫か? それよりも、ゴスロリ着用しないと充分に力を振るえない性質の方が問題なのかも。

将棋の素人にはどれだけ詳細な解説でも分からない
 まあ正直な所。結局は。申し訳ないですが。この物語に関しては、場の雰囲気や感情描写での表現重視だったので、取っ付き難さは殆どなくて、大分読み易く対局にものめり込む事が出来て良い感じでした。

美弦の棋士としての成長物語
 のように見えていて、裏では成海の将棋界復帰までの物語、だったのかな? どちらかと言えば、今後も美弦をメインで見たいですが、もし続くとすれば成海とどちら寄りになるのか気になる所です。

あなたのことを、嫌いになるから。

[著者:氷高悠/イラスト:サコ/講談社ラノベ文庫]★★★

あまりに残酷な症状
 茫然としてしまって言葉にならない。だって、「好き」の感情を昂らせる程に「死」に近付くんですよ?(正確には喜怒哀楽の感情全て、ですが) 見ている側も純真な恋愛を素直に応援出来ない、どころか「やめて」と願わずにはいられないって……あまりに辛過ぎる。

どう向き合えばいい?
 無心の愛都と、素直な「好き」を向けてくれる恵美を追い続けながら、そんな自問の繰り返し。個人的な心情は春乃寄りでしたけど、結局二人の思うままにさせてあげたい、って気持ちが強かったかなあ。

辿り着いた結論
 正直、素直に頷いて納得は出来ませんでした。仕方ないか……と思いつつも。現状は無理でも、どうにか何の枷も無く愛都と恵美が愛し合う未来が訪れて欲しい。強く強く、そう願わずにはいられませんでした。

ウィッチクラフトアカデミア ティノと箒と魔女たちの学院

[著者:逢空万太/イラスト:bun150/LINE文庫エッジ]★★

女性上位の『飛箒術』
 男にはもれなくその適性が無い筈だから。それなのに、間違いなく「男子」なティノに飛箒術適性があるのは何故? そこに飛箒術の深層を紐解く鍵が隠されているのか? 詳しい所はまだ分からない。

謎深きルームメイト
 第一印象は人懐っこいお姉さん……に見えていたんだけどなあウルスラ。時折見せる意味深な仕草や態度のせいで、どんどん得体の知れない存在になってしまった。うーん、絶対に何か秘めてるモノがあるよね。

飛箒競技の将来
 クロリンダ先生は緩やかに衰退の一途を辿る、と予想している。一方で、“新しい風”が吹き込めば何か変わって行くかも知れない、とも。果たしてティノは、変化をもたらす存在に成長して行けるかどうか。

明るい夜に出かけて

[著者:佐藤多佳子/イラスト:丹地陽子/新潮文庫]★★

アルコ&ピースのオールナイトニッポン
 実名と番組名まで挙げていて「へぇ~」ってなった。知らなかったので薄い反応で「ごめん」だけど。富山はめっちゃ人生に影響受けてるよね。それだけは凄く現実味が溢れまくってるなあって感じてました。

コンビニバイトに詳しくなれる
 役に立つかは読み手次第? やけに細かい部分まで描写があって、妙に印象に残ってしまった。富山自身があんまり良い印象抱いてないので、バイト時間の仕事と人間関係で結構鬱屈が溜まる展開でしたけど。

心に塵が沈殿し続けるような
 訳も分からずもがいてるんだけど、訳が分からないから抜け出せない、みたいな。富山を理解出来たかは怪しい。ただ、鬱積した気持ち、迷走を自覚しつつも何か変えてみたい思い、そういうのは凄く直接的に伝わって来たし、何とか受け取れたんじゃないかなあ、と思います。