SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。 せんぱい、ひとつお願いがあります

[著者:涼暮皐/イラスト:あやみ/MF文庫J]★★

強調しているタイトルには意味がある
 そして、軽くは無かった。“今はまだ”「幼馴染の妹」と表示している件について。灯火のやろうとしていた事に気付いて理解した所で、初めてその意味が心に突き刺さりました。

願いが叶うなんて眉唾物
 と、思っていたけれど。目の前で支払った代償の証明を見せられてしまったらね。相応の対価を支払わなければならない時点で、伊織と灯火に報われない雰囲気があって、「願うな」「叶うな」って強く願わずにはいられませんでした。

認識されない恐怖
 灯火にそれが見えた時、伊織にそれが発覚した時、血の気が引く思いでした。伊織は既に一度特定人物に対してだけ経験していて、でもそっちはどうにもならないのかなあ。やっぱり“叶ってしまった”から?

乗り越えた先で
 灯火はキャラを作りつつ、伊織は冷めた視線でしっかり受け留めながら、最初で作っていたラブコメを“本当のラブコメ”にして歩んで行くのかな。他の『星の涙』の行方次第では次に繋がって行けそうな感じもあるけれど、どうなるでしょうね。

―異能―

[著者:落葉沙夢/イラスト:白井鋭利/MF文庫J]★★★

第15回MF文庫Jライトノベル新人賞『審査員特別賞』受賞作
 自分は主人公でも特別な存在でもない――平凡な人間と自己を評して生きる大迫祐樹の元に、突然『和抄造』と名乗る少年が現れ、「君は異能を有している」と告げ異能力バトルへの参加を強要して来るのだが……。

想定外
 自分を「主人公じゃない」と言う奴に限って、主人公っぽい立ち位置に納まるに決まってる……と思い込んでた祐樹が、異能バトルの初っ端から“これ”でしょ? この時点で既に「グイッ」と惹き込まれていた。

先の見通せない展開
 異能バトルがメインかと思えば、月摘重護を中心とした真犯人捜査へ移行したり、和抄造が仕掛けた異能バトルの意図や、異能力者達の素顔や立ち振る舞いに触れながらも、どんな結末へ向かうのかなかなか見通せない。先を知りたい欲求が尽きなかった。

『主人公』
 最初に彼があんな事になっても、何処か心の片隅で「もしかしたら……」が捨て切れなくて。結末に至るまでの経緯を思うと、スッキリ気持ち良くとはならないかも知れないけど、彼の扱いに関しては納得の行くもので満足でした。

探偵はもう、死んでいる。2

[著者:二語十/イラスト:うみぼうず/MF文庫J]★★

『探偵モノ』で『推理モノ』だと誰が言っていた?
 思えばそんな風には誰も言ってなかった。物語の雰囲気、先入観、思い込み、イメージ、で認識させる強引な力は凄い。要素が無いわけじゃないけど、人型兵器や大怪獣、地球外物質に異能力、とか見せられたら……ねえ。

過去と名探偵の『死』の真相
 どこまで未来を予測出来たら、こんな“仕掛け”を用意出来るんだろう。よもやここがミステリー要素だとか? 理屈は割と理解不能ながら、言ってしまえば『だってシエスタだから』で納得させられてしまう。

名探偵の助手と“これから”
 本当は、その後の反応まで見たかった。特に渚の反応は。こんなラストだったから。今度は君彦と渚が向き合わなければならない場面が多くなりそう? 現時点で『SPES』との関係はどうなってる? 気になるのはこの辺りかな。 

既刊感想:

理想の娘なら世界最強でも可愛がってくれますか?4

[著者:三河ごーすと/イラスト:茨乃/MF文庫J]★★

蘇生術式
 セリカ蘇生の謎の解明。これがあれば蘇らせ放題? とは行かず、上手い話には相応の代償が必要なわけで。ただ、不完全ながらも奇跡の成功を遂げた事により、後にこのセリカの存在が大きな意味を持つ事に。

『胞子獣』とは?
 何故、汚染物質に感染すると胞子獣化するのか? 何故、S級魔法騎士の死がステージ5胞子獣を生みだしてしまうのか? までを完全回答。でも正直難解かった。何度かそこを読み返して、大まかには理解出来たかどうか。

終着点
 最初に雪菜の変異率を聞かされて、展開的に全滅エンドもちらついたりしてましたが。全滅寸前からよくぞここまで……ってなりましたよね。決して冬真だけの功績ではないけれど、最後は『娘を一途に想う父親の力』がものを言ったのかなと。

理想の娘なら世界最強でも可愛がってくれますか?
 世界の全ての真相を理解した上で、雪菜にこの台詞を言わせるまでの物語。あるいは、父親である冬真に聞かせる為の物語。……だったのかなあって、何となく、終わってホッと一息ついた所で。

既刊感想:

聖剣学院の魔剣使い3

[著者:志瑞祐/イラスト:遠坂あさぎ/MF文庫J]★★

伏線貼りの回
 今後の盛り上がりに向けて。確かに謎も更に増えて、伏せられている事も多かったかな? って手応え。少々整理しないと疑問が膨らみ続けそうなので、今後の展開されて行くであろう所に期待したい。

敵はかつての『六英雄』?
 無関係ではないと思うけど、やっぱりここにも「何故?」の疑問が付きまとう。復活を目論んでいたのが、レオニスと別の『魔王』の腹心だと言う事も、その意図も謎だしなあ。ここは急いで欲してもどうにもならないので、今後の進展を待つしかない。

レオニスの『目的』
 『叛逆の女神』ロゼリア・イシュタリスの魂の“転生体”を見つけ出す事。そういや、レオニスとロゼリアの関係ってどんなだったっけ? あまり触れられないとつい忘れがちでごめん。核心に近付けば、この辺りも色々語られる事になるのだろうか。

既刊感想: