SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

小説感想

ぎんなみ商店街の事件簿 ~Brother編~

[著者:井上真偽/小学館]ぎんなみ商店街の事件簿 ~Brother編~作者:井上真偽小学館Amazon この物語単体では、小規模な商店街のある町に住む四兄弟が、日常からはみ出したちょっとした事件の謎を追って解決して行くものに過ぎない。真価を発揮する…

推しの殺人

[著者:遠藤かたる/宝島社]推しの殺人 (宝島社文庫)作者:遠藤かたる宝島社Amazon 被害者の事務所社長は相当のクズで、陰で所属アイドルへの脅迫に暴行、さらに薬物使用の疑いもある。素直に自首していれば情状酌量の余地もあっただろうに。たとえバレなか…

幸せジャンクション キャンピングカーが運んだ小さな奇跡

[著者:香住泰/ディスカヴァー・トゥエンティワン]幸せジャンクション ──キャンピングカーが運んだ小さな奇跡作者:香住泰ディスカヴァー・トゥエンティワンAmazon 前触れもなく理不尽な失職を喰らって、社長から餞別代りにキャンピングカーを一方的かつ強…

死にたがりの君に贈る物語

[著者:綾崎隼/ポプラ文庫]死にたがりの君に贈る物語 (ポプラ文庫 あ 17-1)作者:綾崎 隼ポプラ社Amazon 単行本では既読(と言うのを忘れていて文庫版を買っちゃって、読んでからも途中まで忘れていてようやく再読している事に気付く)。 以前読んだ時も強…

変な家2 ~11の間取り図~

[著者:雨穴/飛鳥新社]変な家2 ~11の間取り図~作者:雨穴飛鳥新社Amazon 『11の家の間取り』が11個の“パズルのピース”で、それらを繋ぎ合わせて完成した『一枚絵』が“繋がりの真相”と表現すれば、物語の全体図をイメージし易いのかも。 11の家の間取りが…

可燃物

[著者:米澤穂信/文藝春秋]可燃物 (文春e-book)作者:米澤 穂信文藝春秋Amazon 警察機関が事件の捜査を重ねて『これが真相に間違いない』と確定させようとする寸前で、常に冷静冷淡に違和感を嗅ぎつけ「待った」を突き付けて、誤った確定事項をことごとく…

アリアドネの声

[著者:井上真偽/幻冬舎]アリアドネの声 (幻冬舎単行本)作者:井上真偽幻冬舎Amazon ラストシーンに仕掛けられていた、とある“どんでん返し”の一幕、途中でピンと来た人ならもしかしたら気付けたのかなあ。私はその仕掛けられていた方向の“可能性”にはラス…

好きです、死んでください

[著者:中村あき/双葉社]好きです、死んでください作者:中村あき双葉社Amazon 『恋愛リアリティショー』×『密室殺人劇』の題目。無人島に集められた少数の演者とスタッフ達が、ネット配信の恋愛劇と疑似殺人劇の掛け合わせの物語を創作して行く中で、真の…

この銀盤を君と跳ぶ

[著者:綾崎隼/KADOKAWA]この銀盤を君と跳ぶ (角川書店単行本)作者:綾崎 隼KADOKAWAAmazon 二人の天才女子フィギュアスケーターのノンフィクション、と言い切ってしまったら言い過ぎかな? でも、個人的には過言ではないと断言出来るくらい、素晴らしくリ…

レーエンデ国物語

[著者:多崎礼/講談社]レーエンデ国物語作者:多崎礼講談社Amazon 『レーエンデ国の歴史に深く関わった人達の物語』なのでしょうかね。この終章を振り返ってみて、ひとりの主人公がシリーズを通して描かれ続けるのではない、と気付かされた時点で「これは…

変な絵

[著者:雨穴/双葉社]変な絵作者:雨穴双葉社Amazon 『変な絵』にまつわる不可思議な話を集めた短編集かと思いきや、章を読み進めるごとに新たな人間関係性が複雑に絡み合い、やがてひとつの大きな『真実』へとつながって行く。 この『変な絵』を題材に、至…

となりのナースエイド

[著者:知念実希人/KADOKAWA]となりのナースエイド (角川文庫)作者:知念 実希人KADOKAWAAmazon 医療現場での立場の違う二人を中心とした人間関係のドラマと、主人公・桜庭澪に隠された『謎』から発せられるミステリ要素とが融合し絶妙な噛み合いを見せて…

ある閉ざされた雪の山荘で

[著者:東野圭吾/講談社]ある閉ざされた雪の山荘で (講談社文庫)作者:東野 圭吾講談社Amazon 実際には『閉ざされて』はいないし『雪の山荘』でもないのに、いつの間にかそうだと信じ込ませるような誘導のさせ方があまりに見事過ぎでした。 七人の参加者達…

レモンと殺人鬼

[著者:くわがきあゆ/宝島社]レモンと殺人鬼 (宝島社文庫)作者:くわがきあゆ宝島社Amazon 一番主張したかったのは『人の顔には誰でも“裏”がある』だったんでしょうかね。思い返してみれば、主人公の美桜も含め、主要登場人物のほぼ全員が表向きのイメージ…

儚い羊たちの祝宴

[著者:米澤穂信/新潮社]儚い羊たちの祝宴(新潮文庫)作者:米澤 穂信新潮社Amazon 『大どんでん返し! 5連発』とか言う帯の文句に釣られた結果、「帯の文句は鵜呑みにするもんじゃない」と言う教訓を得ました(そこから勝手に中身を想像したのはこっち…

教室に並んだ背表紙

[著者:相沢沙呼/集英社]教室に並んだ背表紙 (集英社文庫)作者:相沢沙呼集英社Amazon とある司書先生と図書室と本の出会いが、少女達の抱える様々な悩みを解きほぐして行く。 大体がもやもやしたものか、胸くそ悪いものか、学校での人間関係(本書の場合…

神様の裏の顔

[著者:藤崎翔/KADOKAWA]神様の裏の顔 (角川文庫)作者:藤崎 翔KADOKAWAAmazon 善人のかたまりのようだった故人が、通夜の場で関係者から次々に『裏の顔=極悪人』の疑惑を暴露されてしまう。 死人に口なしのごとく、たとえ事実でも虚偽でも死んでいるから…

リーガルーキーズ! ―半熟法律家の事件簿―

[著者:織守きょうや/新潮社]リーガルーキーズ!―半熟法律家の事件簿―(新潮文庫)作者:織守きょうや新潮社Amazon 司法試験に合格したらすぐに法律家として活動出来るわけじゃないのかあ、ってのが物知らずには意外な事実として最初に見えた事で。 法律家…

檸檬先生

[著者:珠川こおり/講談社]檸檬先生 (講談社文庫)作者:珠川こおり講談社Amazon 他人には理解出来ない『特別な感覚』を持っている事による“息苦しさ”を、嫌と言うほど味わわされる。どれだけ抵抗して説明しようとしても伝わらず、さらに相手は自分と同じ小…

アイアムマイヒーロー!

[著者:鯨井あめ/講談社]アイアムマイヒーロー! (講談社文庫)作者:鯨井あめ講談社Amazon タイムスリップして、過去に存在しないはずの少年の中に成人した自分の意識が入り込み、その謎の存在と『本当の少年時代の自分自身』が関りを持つ事になる。 大人…

私が先生を殺した

[著者:桜井美奈/小学館]私が先生を殺した (小学館文庫)作者:桜井美奈小学館Amazon 『学校の教師』って、そんな夢も希望もない真っ黒に染まった職種なんかではないだろう……。と、本書を読んで思い込みたかったのは、実はもの凄く現実社会であり得そうな、…

法廷遊戯

[著者:五十嵐律人/講談社]法廷遊戯 (講談社文庫)作者:五十嵐律人講談社Amazon 被告人がほぼ間違いなく有罪判決を受けそうな状況で、被告人の無二の友人である主人公がどうやって無罪判決を勝ち取るか? 物語の中での興味であったり期待であったりは、大…

正欲

[著者:朝井リョウ/新潮社]正欲(新潮文庫)作者:朝井リョウ新潮社Amazon 『性的嗜好』『性的欲求』について。 一般的に『正常な性欲』と思われている所から外れた異常性欲を抱く登場人物達が、自覚しながらもどうにもならない生き難さから、じわりじわり…

なぜ銅の剣までしか売らないんですか?

[著者:エフ/実業之日本社]なぜ銅の剣までしか売らないんですか? (実業之日本社文庫GROW)作者:エフ実業之日本社Amazon ファミコン時代のドラゴンクエストを元にした感じの世界観。ゲーム設定を思わせる雰囲気ながら、実際の内容は商人の主人公・マルを通…

傲慢と善良

[著者:辻村深月/朝日新聞出版]傲慢と善良 (朝日文庫)作者:辻村 深月朝日新聞出版Amazon 自分の中で育て上げて来た『本質的な部分』を、自分自身の手で根底から覆すには、自分自身でも想定していなかった想定外の突飛な行動を“衝動的に”取るしかないのか…

クスノキの番人

[著者:東野圭吾/実業之日本社]クスノキの番人 (実業之日本社文庫)作者:東野 圭吾実業之日本社Amazon クスノキの『祈念』には何があるのか? 願いが叶うと言う噂は本当なのか? 主人公の玲斗の視点で追っていると、知らない事を知らないままで隠されたり…

さいはての彼女

[著者:原田マハ/KADOKAWA]さいはての彼女 (角川文庫)作者:原田 マハKADOKAWAAmazon 仕事やプライベートで心が疲れたり荒んだりな女性達の挫折と、その後の旅先での素敵な出会いと行動によって、主に心の復活を見事に遂げて行く物語。 事情を聞いてみると…

灯台からの響き

[著者:宮本輝/集英社]灯台からの響き (集英社文庫)作者:宮本輝集英社Amazon 妻に先立たれた六十二歳、中華そば店主・牧野康平の失意と諦めと無気力から物語は始まる。 しかし読み終わった後に再び振り返ってみると、そんな人生を半ば投げてた男はどこに…

神さまのビオトープ

[著者:凪良ゆう/講談社タイガ]神さまのビオトープ (講談社タイガ)作者:凪良ゆう講談社Amazon 夫を亡くした直後に、夫の幽霊が現れ見えるようになって、これまでと同様に一緒に暮らして行く。決定的に違うのは、その事実が他の誰にも伝わってくれない事。…

境界線

[著者:中山七里/NHK出版]境界線作者:中山 七里NHK出版Amazon 『護られなかった者たちへ』の主要人物、笘篠刑事が再登場。一応続編的な位置付けですが、物語自体は独立した内容でした。 東日本大震災で行方不明となって7年経った、笘篠の妻が遺体となっ…