SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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六月はイニシャルトークDE連続誘拐 私立霧舎学園ミステリ白書

[著者:霧舎巧/イラスト:西村博之/講談社ノベルス]★

 霧舎巧なる人物が作中に登場して、「真犯人は実は私でした」と名乗りを上げるのかと思ってしまった(だって、このシリーズの『四月』と『五月』の
本が作中に小道具として使用されてたからさぁ)。

 まあそんなわきゃない。自分の当てずっぽうの浅知恵で正解を掴めるわけもないさ。真相も真犯人も常に琴葉と棚彦の近辺に在った……という結末。

 しかしこの“直接本にネタを仕込む”って手法は凄く良かったな。全く気付けず驚かされたし、二重の仕掛けに感嘆とさせられたし。自著作を物語の中に放り込んだりとか、物語の進行と連動して本書の中に“遊び心”みたいなものが幾つも盛り込まれていて充分に楽しませて貰えたかなと。

 最後に気になって残ったのは思わせ振りな“伝説の続き”……って一体何だろう? 琴葉と棚彦の距離がもっと近付けば自然に見えて来るのかも。

既刊感想:四月は霧の00密室
     五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し