[著者:霧舎巧/イラスト:西村博之/講談社ノベルス]★★
半分館モノで宝探し、あとの半分は遠距離の二箇所同時暗号解読。つまり三箇所同時進行で、シリーズ中最も謎が複雑に絡まり縺れ合った内容になっておりました。
さくさく進めていたこれまでとの展開とは一線を画していて、じっくり腰を据えて読ませてくれる展開でかなりの満足満腹感。まあ手掛かりと六枚の地図とを幾度も幾度も見比べながらの読み進めだったもんで、途中で頭の中がこんがらがって煙が上がったりもしたけれど……。
三人の探偵による三箇所同時謎解き進行。関連性があるのは勿論分かっちゃいるんだけど、何せそれぞれが別々の行動を取っているので(棚彦となるさんは同じ京都だけど保は神奈川だからねぇ)、「どうやって一本の線に繋がるんかな〜?」と興味津々。真相に至るまでの過程が実に面白い。
更にその繋げ方も巧妙で、最後にもう一押しのどんでん返しっぽい種明かしも良かったなと思う。前述の通り上々の満足感。
ただ、どうもラストの締めがあっさり過ぎなのはやっぱりちと不満。解決後のちょっとした余韻が欲しいなぁ。
既刊感想:四月は霧の00密室
五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し
六月はイニシャルトークDE連続誘拐
七月は織姫と彦星の交換殺人
八月は一夜限りの心霊探偵