[著者:霧舎巧/イラスト:西村博之/講談社ノベルス]★
“フリーダム脇野”ここに極まる。
てか誰かこいつ拘束しろよ! と思わず突っ込みたくなる程の勝手気まま振り。これまでも迷惑千万な奴だったけど、今回も予想以上に凄かったな。……でもさ、これだけ生徒に嫌がられ煙たがられてる割に、彼から特に目を付けられている琴葉や棚彦や保やのの子達からは意外と構って貰えてるのが不思議だ。半ば呆れと哀れみ目で見られてるのは確かなんだけど、ここまでの傍若無人だと普通見捨てられてもおかしくないよな、と。
まあ教師と生徒の上下関係もあるだろうし、いくら無視されようが嫌われようが見限られようが全く堪えない図太さが脇野の性質なんだけど。
……つーかなんでわたしゃ脇野の事をこんなに述べてんだ? ………………ああ! 今回ちょっとだけ、本当にごくごく微かに奴を見直したからだ。心底腐ってるわけではなくて、稀に教師らしい所も見せるから琴葉たちも何となく同情心込みで付き合ってやれてるのかなと。そういう気持ちがちょっとだけ分かった気がする。
今回は正直テーマの『消去法』が霞んで印象薄くなってしまった。それは脇野が珍しく琴葉達にとって嬉しい事を仕掛けてくれたから。最後に用意されていたビッグサプライズ。素直に嬉しかったよ。
既刊感想:四月は霧の00密室
五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し
六月はイニシャルトークDE連続誘拐
七月は織姫と彦星の交換殺人
八月は一夜限りの心霊探偵
九月は謎×謎の修学旅行で暗号解読