マリア様がみてる フレーム オブ マインド

[著者:今野緒雪/イラスト:ひびき玲音集英社 コバルト文庫]★★

 シリーズ第28巻。雑誌Cobaltで掲載された番外編を纏めた短編集。時期的には前巻の半
日デートイベントの少し前。現在から写真に秘められた幾つかの過去の出来事を遡ってゆ
く展開。主役は蔦子、正確には蔦子が整理している写真達。短編集なんだけど、過去エピ
ソード群を繋ぐ『フレーム オブ マインド』の存在によって、一本線の通った仕上がりに
なっている。その辺りの構成が実に巧いなぁと思う。あと軽い事件性を持たせた内容にな
っているので、「一体誰の落し物か?」という謎を追いながら楽しめたのも好感触。
 そこだけ切り取られた風景――写真を見ただけではおおよそ窺い知る事の出来ない込め
られた想いの数々。特に印象に残っているものを挙げてみると、ダントツだったのが『不
器用姫』。マリみての中で、こんな風に最後まで直接痛みが残るものって滅多に見られな
いよな〜。そういう意味で凄く心惹かれたエピソード。それから『四月のデジャブ』。リ
リアン女学園での“姉妹”という常識を逆手に取った演出が実に良かったなと。

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