SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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[著者:鳥居羊/イラスト:まったくモー助/HJ文庫]★

 第1回ノベルジャパン大賞『優秀賞』受賞作。

 妹が某小国の王位継承権第一位の王女様で、二卵性双生児の実妹たっだのがいとこ同士の義妹になってしまい、機密保持だか何だかで秘匿されている裏事情の詳細は聞いても頼んでも一向に明かしてもらえない。そんな状況に叩き込まれた兄貴が状況に流されっ放しで受身になってしまうのも仕方ない。

 でも、戦闘経験豊富とは言え異国の少女達に守られてばかりな状況を不甲斐なく思い、自分じゃ妹を守るのに力不足だという事実に歯噛みしながらもそれを自覚し、何とかしようと積極的に行動を起こす辺りに好感が持てる。

 だから……妹の為、異国の少女達の為に一生懸命頑張っているお兄ちゃんに努力が報われるだけの役得(ご褒美と言い換えても可)をもっと与えてあげて〜。と懇願していたのに、何故だ……何故義妹という美味しい設定をもっと積極的に絡ませないんだ! 

 まあ、そんな不満ですよ。これは3人の護衛少女達の扱いに対しても同様で、行動による表面的なスキンシップ(腕を組んだり視線を合わせたり言葉を交わしたり)は結構取れてるんだけど、内面的な感情表現の部分があまり響いて来なくてもうちょっと、だったかなぁ。続きがあるらしいので、次はそういうとこ積極的に攻めてくれると嬉しいかも。