SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

地を駆ける虹

[著者:七位連一/イラスト:光崎瑠衣/MF文庫J]★

 第3回MF文庫Jライトノベル新人賞『佳作』受賞作。

 何かに憧れを抱いてもそれに近付こうと努力をせず、卵が孵らないなら孵らないなりに自身の力を伸ばす方策は幾らでもあるのに口に出るのは虚勢と泣き言ばかり、仲間内で役に立てないのは自業自得なのに指摘されるとヘコみまくり、見栄で固めた虚言がバレそうになれば逆切れして暴走……ダメだこの主人公。終始一貫して痛々しくて見てらんない。

 でも、これは物凄く分かり易いキャラクター像だと思う。徹底して精神的成長ゼロなヘタレた主人公を描き切っているという事、なんか読み手の反応をかなり意識しつつ計算して仕掛けている風にも見える。ネイブに対し“痛々しい”とか“ヘタレ”とか当たり前のように思わされた時点で、逆に書き手側の手玉に取られてしまったかのような、そういう計算高い巧さも垣間見れたのかなと(まあダメだこいつって気持ちは変わらんけど)。

 エレメントに関する設定色々、面白いなぁという感触は結構得られたのだけど、今回はあまり活かしきれてなかったような印象(こちら側にサッパリ良い見せ場が無かったせいだろうか?)。融合攻撃とかはうまく盛り込めれば見せ方の幅が広がりそうなので、次に期待かな。あとはネイブのヘタレっぷりがなんぼかマシになってくれてますようにと願うばかりだ。だって、やっぱし痛々しいのよりは成長する過程を見たいもの。