SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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流血女神伝 喪の女王6

[著者:須賀しのぶ/イラスト:船戸明里/コバルト文庫]★★

 女神を求め、女神にすがろうとする者達が道に迷い落ち目にあり、逆に女神に抗い、元より女神の存在など意に介さず、女神の呪縛から解き放たれた者達が為すべき道を正しく真っ直ぐに突き進んでいる現状。前者はサルベーンにネフィシカ、後者はカリエにエドにラクリゼ。

 今回目を引いたのは、ザカール人視点で描かれたザカリア女神の書物について。実際に触れたカリエと同様に、ちょっとこれまでとは違う印象があった。とりわけ“人間の立ち位置に女神自らが降りて話し掛ける”なんて件とか。遥か高みから見下してるイメージがあったので、確かにザカール人の中ではこういう見方をしていた者が居た、という事実は結構新鮮に感じられたかなぁ。

 で、今ユリ・スカナのザカール人達に接しているカリエの姿って、この書物の中のザカリア女神そのままに見えた。以前みたく女神に近しくあっても鬱々とした雰囲気はなく、むしろ活き活きと輝いて見える。この大きな変化が状況打開へ確実に向かっているものと思いたい。

既刊感想:『流血女神伝』感想一覧