SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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流血女神伝 喪の女王7

[著者:須賀しのぶ/イラスト:船戸明里/コバルト文庫]★★

 己の力が到底及ばぬ事態に遭遇すれば「それは神々の意思だから」と考え、大きな壁が立ち塞がれば「それは神々の試練だから」と言う。神々に依存し、神々に束縛され、神々に支配される……この壮大な物語は、そんな当たり前で常識と信じ疑いもしなかった現実を、根底から破壊し新生させようと足掻く人間達の物語なのかなぁと。

 そんな風に思うのは今更なのかも知れないけれど、終着点が近付き始め色々見せて貰えた今だからこそ、ようやく明確に捉える事が出来たような気がする。

 思えばカリエは最初からずっと、女神に抗い続けて常識を覆し己の意思を貫き通して来た。そんな意思を自分だけのものから徐々に周囲に広げ、今や多くの者達に影響を与えつつ新たな可能性を結実させようとしている。

 カリエの逃亡先は大体定められたようだけど、今回のラストを見る限りではまだ二転三転ありそうな予感も。ルトヴィア、ユリ・スカナ、エティカヤのバランスも一体最後にはどうなっているのか全く予測出来ない。最終巻でどんな結末を見せてくれるのか凄く楽しみ。

既刊感想:『流血女神伝』感想一覧