SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

ほうかご百物語

[著者:峰守ひろかず/イラスト:京極しん/電撃文庫]★

 第14回電撃小説大賞『大賞』受賞作。

 出逢ってから部活動を中心にしょっちゅう行動共にして数ヶ月経ってんのに、一体おまえはどんだけ見惚れてんだよ、ってくらいイタチさんに見惚れまくってる白塚くん。いや、ホントに『可愛い』とか『綺麗だ』な言葉を何度繰り返し並べ立ててんだこの野郎はよ〜。

 しかしまあ、それだけイタチさんが魅力的な“スケッチ素材”って事なんだろうなぁ。白塚の視点から、そういうイタチさんの魅力がじんわり伝わって来る辺りが実に良いね。今の所、彼はイタチさんの“内面”より“外見”の方に惹かれてるみたいなので、恋愛対象ではなくスケッチ対象として見てる方が大きいのかな? ここから徐々に彼女の内面にも惹かれて行って欲しい。

 最初は人間と妖怪の境界線が明確で、噛み合わない会話からそれがよく表れていて、だけど次第に慣れて噛み合ってゆく……この辺りでイタチさんの溶け込み具合がしっかり描けていて良かったと思う。欲を言えば、白塚の歯の浮くような台詞を受けた時の恥じらいだけが最初から妙に人間臭かったので、そこも最初は反応淡白にして徐々に染まってゆく感じの方が良かったかなぁとか。

 この内容なら妖怪関連で色々仕込めそうだし、次にも繋げ易そうなので、続きがあればまた読んでみたい。