SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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under 異界ノスタルジア

[著者:瀬那和章/イラスト:u/電撃文庫]★★

 第14回電撃小説大賞『銀賞』受賞作。

 ドSなご主人様(蘭不)は、その内きっと新たに手に入れた奴隷(唯人)にデレるに違いない。……と、続くかどうかも分かんないのに勝手に希望を述べてみる。まあ双子の片方・灯香が唯人に対して好意的なんで、極度のシスコンなもう片方の蘭不も引き摺られるんじゃないかなぁ。むしろ是非そうなってニヤニヤさせて欲しい。

 先の方に目が行ってしまうのは、デビュー作からシリーズとして続ける気満々で、凄く先を意識して臨んでいるなぁと、そういう意気込みが感じられたからかも。

 良かったのは、勿体振って隠したり出し惜しみしたりなんかせず、ほぼ全ての要素を出し尽くしているなと思えた点。既存に類似した設定でも、少し位置をずらして独自のアイディアを工夫して盛り込んでいると感じられた点。一冊できちっと巧く纏め上げている点、など。

 凄く全力を出し切った! という印象。その上で「この続きを読んでみたい」と強く思わされた。反則的切り札の蘭不の使い所と弱っちい唯人の成長過程に注目し期待を寄せつつ、続きを追う事が出来ればいいなぁ。