SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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デビルズ・ダイス 1の目 神はサイコロを振らない

[著者:いとうのぶき/イラスト:佐嶋真実/角川スニーカー文庫]★★

 第11回スニーカー大賞『奨励賞』受賞作家さんのデビュー作(受賞作ではないのね)。

 ありとあらゆる数字を見通し見抜く悪魔のサイコロ『デビルズ・ダイス』。どういう原理でそうなるのか? という説明はなくて、最初からそういう力が存在する前提で描かれているのか。まあ宝くじの当選ナンバーをこうも容易く的中させる事が出来るのなら、原理なんてどうでもいいからとにかく才のように色々試してみたくなるだろうなぁ……。

 悪魔のサイコロを自分の思うままに利用していた筈が、いつの間にかその悪魔に魅入られ支配されてしまい、やがて欲望のままに破滅の道へと足を踏み入れてしまう本編主人公の才。でも、もしかしたら支配されている振りをして、悪魔さえも欺いているのかも知れない。

 今回はプロローグに過ぎないとは言え、読み応え充分で密度の濃い内容。最大の禁忌“人の死を透視する”為に何が必要で、それを知った才は何をしようとしているのか? 重症を負った法地はこれからどう才と対峙して行くのか? そして最後までハッキリしなかった彩の生死の行方は? 気になる箇所色々。続きが待ち遠しい。