SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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繰り世界のエトランジェ 第二幕 偽りのガジェット

[著者:赤月黎/イラスト:武藤此史/角川スニーカー文庫]★

 自分が心の底から正しいと思うものならば、たとえ誰もが「それは間違いだ」と指摘しても当人にとっては紛れもなく『正義』であり、逆に誰もが「それは正しい」と言う事でも、自分が間違いだと思い躊躇えばそれは断固として『悪』である、と。多分今回はそういうお話。

 この要素、途中ではあんまり絡んで来なかったのが、最後の最後で非常に重要な意味を持つモノへと変貌を遂げる。透真がずっと訴え続けて来た「母は死んでいない」「母が一連の事件を仕組んだのではない」「母が黒幕なのではない」など、母・操を頑ななまでに信じる心。

 ラストのこの状況を突き付けられても、まだ透真は操を信じる事が自らの『正義』だと貫き通せるのか? 次への注目ポイントはそこになるかなぁ。一見すると「それは間違いだ」と透真に言いたくて言いたくて仕方ない状況なんだけど、礫と雷斗が透真にそっと告げた言葉からは、どうもまだ裏がありそうな感じだよねぇ。

 今回初めて姿を見せた<神の手>と操との繋がりもまだ充分に描かれてないので、その辺も気になる所か。

既刊感想:第一幕