SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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アンゲルゼ 孵らぬ者たちの箱庭

[著者:須賀しのぶ/イラスト:駒田絹/コバルト文庫]★★

 一冊丸々プロローグ段階。しかし興味の引き方が手馴れてるって言うのか、全部は曝け出さないけれど適度に気を引く程の絶妙ちらつかせ方が巧いねぇ。結構気になる謎が多くて読了して直ぐに続きが欲しくなった。

 陽菜の性格、覚野の酷な物言い、周囲の陰険陰湿な虐め、加えて『天使病』や陽菜の『マリア』など得体の知れないモノへの不気味な感触など。全部の要素をひっくるめて物凄くざらざらして澱んだ空気が多くの箇所で充満してたんだけど、陽菜のちょっとした変化を切っ掛けに、終盤辺りでは随分嫌なざわつきも収まってくれて良かった。

 正直途中で陽菜が何とか吹っ切ってくれなかったらどうしようかと思ったからホッとしたよ〜(もっとも、この物語の雰囲気からして次で突然奈落の底へ叩き落される可能性も充分考えられるので油断は禁物だ)。

 全貌が見えていない幾つもの設定を、今後どうストーリー展開に絡めてゆくか? それと陽菜が二人の恋人候補にどんな形で惹かれてゆくか? の辺りが楽しみ。