SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

DOORSII 新たなる敵を修繕せよ!

[著者:神坂一/イラスト:岸和田ロビン/角川スニーカー文庫]★★

 「あるあ……ねーよ!」と突っ込み入れたくなった箇所数知れず。理不尽なバカ騒ぎのお陰で、常に美祢と共にあったこの物語の“メインテーマ”ってやつをすっかり見失ってしまってた。恐るべきは超SF解釈か。

 『普通』って言葉は割と簡単に口に出せる事だけど、じゃあ普通ってなんなの? と、例えば普通の捉え方がまるで違う智紗に問い詰められたりすると、意外と明確な返答が出来なかったりする。一見めちゃくちゃやっていて、見た目通りめちゃくちゃやってるんだけど、修繕完了して美祢の台詞を聞いた時、実はなかなか奥深い事が描かれていたんじゃないか? と思わされたりもした。“普通”を面白くするのも、詰まらなくするのも、全て自分次第。語られていたのはそういう事なのかなと。

 加速がついたと思ったら突然に終わる。そんな行き当たりばったり加減と唐突さがこの物語には相応しい。でも、裏を返せばこのラストからまだ突然ドアが増えて世界がまぜこぜになってシュリンが現れたって全然不思議じゃない。そんな終わり方が堪らなく良いね。

既刊感想: