SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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DクラッカーズVI 王国―the limited world―

[著者:あざの耕平/イラスト:村崎久都/富士見ファンタジア文庫]★★

 最終章前半戦。もどかしさ満載。存在は理解しているのに思い出だけが記憶の中から薄れてゆく。一瞬のフラッシュバック、でも直ぐにするりと抜け落ちる。

 頑張れ! 思い出してくれ! って梓や景や水原や茜に何度も懇願したくなったのは、やっぱり千絵の孤軍奮闘を見せ付けられたから。自分だけは景との記憶を覚えている、しかし伝えたいのに明確に伝える術がない、理解を得られないまま梓や水原との関係も崩れてゆく……事情を理解している読み手側からしたら、辛いよなぁ歯痒いよなぁと思わされてしまう。

 だから、そんな千絵の頑張りが一縷の希望と共に実を結んだ時は凄く嬉しかった。決して諦めなかった千絵のお陰で、梓が、水原が、茜が、甲斐が、そして景が、全てを終わらせるため集結しつつある。この時の高揚感がホントに堪らない。そしてここから更に気持ちを昂ぶらせてくれる展開が待っているに違いない。

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