[著者:麻宮楓/イラスト:梱枝りこ/電撃文庫]★
麻宮楓 アスキー・メディアワークス 2008年06月
第14回電撃小説大賞『最終選考作』。
傍から眺めてると天然ボケな娘さん。じゃあそんな天然ボケな娘さんって、一体どんな事を考えながら常識の予測を軽く外してくれるようなヘンテコな行動取ってるの? という疑問にこの物語は見事答えてくれている……かも知れない。リリスの素は多分あんまし感情表に出さないタイプの天然さん。やっぱりというか何というか、天然さんは常識からちょっとズレた行為を「当たり前の事」と捉えてたりするんだな。
そんな天然(だと思われる)リリスと、魔力を溜め込み復活と人間界征服を目論む幼女姿のサタン様との二人三脚物語。壮大でシリアスな欲望も、天然メイドと貧弱魔王にかかれば途端に汗と笑いと努力と涙のコメディと化す。デコボコな主従コンビの動向を追うのがなかなか楽しい。それに終盤のあの仕掛けは、結構な捻りが加えられていて良い手応えだったなぁと。