[著者:来楽零/イラスト:緒方剛志/電撃文庫]★
来楽零 アスキー・メディアワークス 2008年06月
怪談話には耐性がある方、だと思う。……けど、こんな風に何気なく気軽に言えるのも、怪異現象なんぞに遭遇した事ないからだろうかね。と、幾つかの世にも奇妙な怪談話を読みつつ考えてみたりとか。
各エピソードの主人公達も、元々はこっち側に属する立場だったんだよな。で、もしその状況が突然一変してしまったら、最も厄介なのは“怪異現象が降りかかってしまった自分の状況を他者に理解して貰えない事”だろうなぁ。助けを求めようとすれば、途端に変人扱いされてしまう。そんなどうにもならずにもがき苦しむ姿が、読み手に存分に恐怖感を与えてくれる。
私はぷつっとブツ切れになるか、終わったと安堵した隙を突いて止めを刺されるか、そういうのが割とゾクゾク来るので、『ヘッドハンティング』『子供たちの町』辺りが印象に残ったかな。何か実際に子供の視線を意識してしまいそうだよ(うっかり凝視して不審なおっさん扱いされないよう気をつけねば……)。