SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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リミテッド・ヴァンパイア1 髪喰鬼と吸血鬼

[著者:仁木健/イラスト:中島鯛/角川スニーカー文庫]★

 どうしようもない煩悩野郎現る! 真端由自――奴の脳ミソは最早手遅れで修復不能なまでに逝ってやがる。……しかしながら、ここまで己の欲望を包み隠さず忠実に体現出来るってのも一種の才能で、実は凄い事なのか? と、一瞬思わなくも無かったが、理性が完全崩壊した由自の数々の行為で色々と台無し。

 本編は吸血鬼モノの変化球。ただし間違ってもストライクゾーンには入りませんよ、みたいな内容。戦いの構図は祖先の吸血鬼対吸血鬼から派生した髪喰鬼。加えて人間側の政府がややこしく介在したりとか。

 最後で話の規模が広がっちゃった為、随分シリアスな雰囲気に寄ってしまったんだけど、その影響で次巻以降由自の煩悩が薄まらなければいいけど……。まあ文と吸血鬼達との過去の確執があるから、由自野放しで煩悩全壊ってわけにはいかないだろうけど、彼のある意味立派な本能も忘れないで加えて欲しいなと。