SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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銀色ふわり

[著者:有沢まみず/イラスト:笛/電撃文庫]★★

 世界中の誰からも視認されず、まるで空気に溶ける様に消えゆく存在だった筈の少女が奇跡的に拠り所を見つけてしまう物語。世界中にたった一人だけ、少女(銀花)が無条件で寄り添える事の出来る存在(安住春道)は、果たして彼女の希望となり得るのか?

 単発モノだと思ってたら続きモノだった。物語の雰囲気がもうこちらを泣かせる気満々な感じ。今回は泣かせるまでの準備段階みたいなもんで、「さあ、ここからどうやって泣かせて落としてやろうか?」ってな声がどこからともなく聞こえたような気がしたよ。

 銀花にとって春道と出逢えた事は、間違いなく至上の喜びであり幸せであるのだと思う。しかしながら、今後の展開次第では「出逢わなかった方が良かった」「一人で消えてしまった方が良かった」と、銀花が思ってしまう可能性も。拠り所を得たと同時に、失う事への恐怖や辛さも得てしまったからねぇ。今はそうならない事、そして二人の幸せな結末をただ願うのみ。