SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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七歳美郁と虚構の王

[著者:陸凡鳥/イラスト:甘塩コメコ/ガガガ文庫]★

 第2回小学館ライトノベル大賞『佳作』受賞作。

 九重白雪が考案した“プログラムシステム”を描き切る為だけに費やされた一冊。とにかく物語の最重要点を読み手側に理解させようと全力を注ぎ込んで描かれた一冊。これが特に後半かなりの効果を上げていたなぁという感触。序盤で把握し辛かった部分(久遠の肉体及び精神構造)が「あ〜なるほどね〜」と割とすんなり受け入れられたし、多数の意識の想像力で虚構を実現させるシステムに対しても、なかなか面白いアイディアを捻り出し盛り込んでいるじゃないかと。

 ただ、“プログラムシステム”描写に全力注いだはいいが、他の所に色々手を加える前に力尽きちゃったような感じ。九重白雪の思惑を中心軸に据えて、そこから波及する何もかもがまるで分からない事だらけなんだよねぇ。そこら辺の詳細説明は続き待ちかな?