SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

どろぼうの名人

[著者:中里十/イラスト:しめ子/ガガガ文庫]★

 第2回小学館ライトノベル大賞『佳作』受賞作。

 ラプンツェルが初雪ならば、彼女を幽閉した魔女とは愛の事なのか? でも、初雪が恋して求めたのが愛ならば、王子役もまた愛って事になるんじゃないんだろうか? じゃあ魔女役は元々初雪を仕向けた葉桜なのか? それとも愛の一人二役? 初雪の夢の中では魔女=王子だったとか? ……てな事をつらつらと考えつつ、まあハテナマークを幾つ並べても足らないくらい常に疑問符が付き纏う奇妙な物語だったなぁと。

 全体的な空気は淡く儚げながら、唯一点“百合”な要素だけはちょっと嗅ぐだけで酔い潰れてしまいそうな程に濃密。その雰囲気に強く惹き付けられた。

 ただ、裏で暗躍していた葉桜については、やっぱりもう少し深いとこまで追求して欲しかったかも。