[著者:中村恵里加/イラスト:たけひと/電撃文庫]★★★
過去のエピソード達で一旦記憶を巻き戻しておいて、最終巻から止まっていた現在の時間に螺子を巻いて再び動かし始める……という心憎いまでの構成と演出に対し、もしかしたらあの最終巻のエピローグ以上に感極まってしまったかも知れない。
過去に片倉優樹が存在していた事と、現在では失われてしまった事を照らし合わせると、より一層喪失感というやつが浮き彫りになってしまう。
でも、そこに優樹から未来を託された者達が混ざり合う事で“片倉優樹という存在の証”が明確に刻み込まれたんじゃないかなと。全然蛇足なんかじゃなかったよ。最後に太一朗の様々な想いを抱いての再出発に立ち会えて、本当に凄く嬉しかった。
ダブルブリッド(Drop blood)
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中村恵里加 アスキー・メディアワークス 2008年11月