SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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犬とハサミは使いよう3

[著者:更伊俊介/イラスト:鍋島テツヒロファミ通文庫]★★

 大人気作家、秋山忍こと夏野霧姫がストーカーさ
れているらしい気配から始まった今回のお話。霧姫
が部屋を留守にしていた間に“本が一冊増えていた”
事が発覚。気付いた犬和人のお手柄でストーカー疑
惑の気配が確信に変わったわけですが、蔵書10万
冊近くあるのに良く違和感に気付けたなあと思わず
にはいられませんでした。本が絡んだ時の和人の覚
醒っぷりは凄過ぎです。もしかしたら、霧姫の身の
危険に反応して感知能力が発動したのかも知れませ
ん。相変わらずのハサミで切って切られての関係で
すが、不意を突かれて相手を意識している所がお互
い明確に見えてますからね。和人の何気ない一言で
油断して隙を見せた時の霧姫は本当に可愛いです。
 今回のメインである本増加とストーカー騒動の真
犯人の謎解き。元々登場人物が少数なのでミステリ
仕立てにはなっていませんが、真犯人が霧姫に仕掛
けた罠=『蛍星恋話』の扱いについては、伏線の張
り方が巧いなと思いました。「そこまでやるのか!?」
とも思いましたけど。前巻の和人妹と同様に、霧姫
との一騎打ちの方法が色々おかしく狂ってましたが、
傍で眺めてる分には実に面白いものでした。作家ら
しい戦い方にして決着のつけ方なのでしょうかね。

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