マグダラで眠れ

[著者:支倉凍砂/イラスト:鍋島テツヒロ電撃文庫]★★★

マグダラで眠れ (電撃文庫)

マグダラで眠れ (電撃文庫)

 錬金術師と修道女の物語。錬金術師が己の夢に向
かって生きる行為を「マグダラの地へ進む」と言う
のだそうです。錬金術師の主人公クースラが追う夢
物語であり、彼の監視者と名乗り邂逅を果たした修
道女フェネシスとの触れ合いの物語でもあります。
 錬金術とはどう言ったものであり、錬金術師とは
この物語の中でどんな位置付けで何をする存在なの
か……などなど、クースラと相棒のウェランドを通
して、細部に至るまで「錬金術師とは何か?」の一
点をとにかく徹底的に語り尽くしています。世間で
は蔑みの目で見られる最底辺の地位にありながら、
圧倒的な権威を誇る『クラジウス騎士団』の庇護下
にあり、容易に手が下せず排除も出来ない厄介な存
在。それがこの物語の錬金術師と呼ばれる者達です。
 クースラの言動を見ながら一言「胡散臭い連中」
としか出ませんでしたが、後々で語られる彼の夢と
本音は、意外と真っ直ぐで情熱に満ちたものがあり
ました。その歪んだ本質には難ありでしたけど。
 あとの残りはフェネシスとの触れ合いを描く部分
に費やされています。弱々しくて放っておけない、
保護欲を掻き立てられる可愛らしさ。クースラとの
距離が縮まってゆく感覚が凄く良い雰囲気でした。