SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。4

[著者:左京潤/イラスト:戌角柾/富士見ファンタジア文庫]★★

 ラウルが今まで時々頭に浮かべてたか口に出して
たか、ともかくその存在だけは確認出来ていた妹の
ミュリ登場。前巻ラストで何の前触れも無くラウル
の前に現れたんですよね。純粋に兄が勇者になった
と信じて疑わないミュリに、さあどうやって事実を
告げようか? とラウルがとにかく悩みに悩んで迷
いに迷って踏み出せずに躊躇いまくってます。
 これ、最初は煮え切らないラウルに「さっさと言
っちまえよこのヘタレが!」とか思ってたのですが、
ラウルとミュリの過去が次々に語られるに連れて、
そうも言えなくなってしまいました。勇者になれな
かった理不尽な事情はあったとしても、これだけ故
郷の人達に期待され、妹のミュリには尊敬と羨望の
眼差しを向けられたら、そりゃ簡単には告げられな
いなと思わされました。ラウルには無い強さを持っ
ている、フィノやアイリが背中を押してくれた事に
感謝ですね。ラウルは良き同僚に恵まれてますよ。
 あと、ちょっと気になってるのが魔人に成りすま
して犯罪に手を染める人間の存在。最低のクズは魔
人ではなく、同じ人間の中に居るって事でしょうか。
純粋な魔人より、卑劣な人間の悪意の方がラウルや
フィノに向けられそうな嫌な感じもしますね。

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