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仮想領域のエリュシオン 002_ハイドランジア・ガーデン

読書感想

[著者:上智一麻/イラスト:nauribon/MF文庫J]★★★

 天陵冬姫が主役の回。両親を亡くし、兄の大河と
引き離されて孤独に陥った彼女と、同じ鴉羽の施設
で出逢った少女・鴉羽紫緒との苦い思い出と再会の
エピソードです。過去回想を見てると、冬姫が大河
にベタ甘なのが凄く理解出来ました。ここで描かれ
ているのも多分孤独と寂しさの一端でしょうし、そ
の上友達になれたと思っていた紫緒と傷心を負う様
な決別をしてしまっては、気を許せる存在に身を委
ねたくもなるってものですよ。元々冬姫は人見知り
で人一倍寂しがりやな面があるみたいですからね。
 大河と涙が絡んだ事でも余程でない限り積極的に
前には出ない冬姫ですが、一度切れた友達との絆を
繋ぐ為に一生懸命戦いました。逃げ出そうとする自
分との戦いであり、望まぬ相手との戦いであり、自
身の能力の限界との戦いでもあり、どの戦いもぐっ
と来るものがあって見応えありで良かったですね。
 大河と涙は脇役に徹しながらも、その言動は冬姫
を思い遣る気持ちに満ち溢れていて、こちらも印象
的でした。敵対した『天使』なる存在は謎に包まれ
たままで、今後の動向と関わりが気になる所ですね。

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