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神様のメモ帳9

[著者:杉井光/イラスト:岸田メル電撃文庫]★★★

 初っ端から鳴海が「アリスを喪った」とか呟いて
いたので、「またまた〜思わせ振りに焦らしといて
どうせ元の鞘に納まるんでしょ?」とか割と楽観的
に読み進めていました。が、途中で一時だけ「こり
ゃダメかも……」と諦めさせられそうな展開になり
ました。散々修羅場潜って来た鳴海にとっても、覆
せそうにない絶望感だったんじゃないでしょうか。
 でも、それでも“鳴海ならどうにかしてくれる”
ってのがあるんですよね。ことアリスに関しては、
鳴海に任せとけばいいって期待感や安心感を抱いて
しまいます。これまでのアリスとの積み重ねが、鳴
海をそんな風に見させてくれたのかも知れません。
 今回はアリス=紫苑時有子の実家の紫苑寺家の遺
産相続問題絡みのお話。生々しく歪み澱み腐ってま
す。これまで秘匿されていた、アリスの出生や紫苑
寺家との関わりについても全てぶちまけられます。
 これらの事実を全部飲み込んでも鳴海は手を引き
ません。絶望に打ちひしがれてから這い上がる時の
鳴海の度胸は計り知れないですね。出来ればもっと
色々な事件を通じてアリスとの関係を見続けたかっ
たです。これで終わりなのが名残惜しいですが、惹
き込まれるエピソードが満載の素敵な物語でした。

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