血翼王亡命譚I ―祈刀のアルナ―

[著者:新八角/イラスト:吟/電撃文庫]★★★

 第22回電撃小説大賞『銀賞』受賞作。

 読んでいてずっと気にしていた事があります。そ
れは、一人称視点であるユウファが、王女アルナを
“アルナリス様”と呼んでいた事です。ハッキリ言
ってそんなの取るに足らない事だろう、と最初の内
は思っていたんですけど、彼はどんな時でも、何が
起こっても、その呼び方を貫き通していました。
 正確には終盤のとある時点まで、ですが。そんな
事を気に掛けていたせいか、ユウファのアルナリス
様の呼び方が切り替わった瞬間の感情の昂ぶり方は、
それは簡単に言葉に出来ないような凄まじいものが
ありました。何て表現したらいいのか分からない複
雑さで。でも一番はやっぱり、アルナが本懐を遂げ
られた事に対する嬉しさだったのかも知れません。