マッド・バレット・アンダーグラウンド

[著者:野宮有/イラスト:マシマサキ/電撃文庫]★★

マッド・バレット・アンダーグラウンド (電撃文庫)

マッド・バレット・アンダーグラウンド (電撃文庫)

 第25回電撃小説大賞『選考委員奨励賞』受賞作。

 主人公ラルフの中に一本の境界線が走っていて、
片側は真っ当な人間の生き方、もう片側は非人道な
生き方。そのどちらにも振り切れず、常に不安定な
足場の境界線上でぐらぐら揺れながら歩き続ける。
 一見して実に人間的な感情を持ち合わせているよ
うでいて、実はどっち付かずなまま正常な精神を保
ち続けていられる事こそが最も異常、と言う存在。
 正規の手順を踏まずに異能を埋め込んだせいか、
普段のラルフに便利能力以上の凄味があまり感じら
れない。リザの助力あって辛うじて窮地を凌いでい
るような。同じ『銀使い』が相手だと余計に力量差
が露呈してしまう。それでも生き残っているのは、
正常であろうとする異常な精神力の賜物なのか。