[著者:野宮有/イラスト:マシマサキ/電撃文庫]★★
- 作者: 野宮有,マシマサキ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2019/04/10
- メディア: 文庫
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第25回電撃小説大賞『選考委員奨励賞』受賞作。 主人公ラルフの中に一本の境界線が走っていて、 片側は真っ当な人間の生き方、もう片側は非人道な 生き方。そのどちらにも振り切れず、常に不安定な 足場の境界線上でぐらぐら揺れながら歩き続ける。 一見して実に人間的な感情を持ち合わせているよ うでいて、実はどっち付かずなまま正常な精神を保 ち続けていられる事こそが最も異常、と言う存在。 正規の手順を踏まずに異能を埋め込んだせいか、 普段のラルフに便利能力以上の凄味があまり感じら れない。リザの助力あって辛うじて窮地を凌いでい るような。同じ『銀使い』が相手だと余計に力量差 が露呈してしまう。それでも生き残っているのは、 正常であろうとする異常な精神力の賜物なのか。