異世界誕生 2006

[著者:伊藤ヒロ/イラスト:やすも/講談社ラノベ文庫]★★★

異世界誕生 2006 (講談社ラノベ文庫)

異世界誕生 2006 (講談社ラノベ文庫)

 自分の死と引き換えに成し得た異世界転移転生に
おいて、現実世界に残された側がメインの物語は多
分他に見た事がない。『一方その頃……』的な途中
描写は見掛けたかも知れませんが、完全にこちら側
寄りなのは初めて。実際に誰かを亡くした側に立っ
てみれば、こんな風に“遺族が描いた妄想”と扱わ
れるのがごく自然な事にように見える。そう意識さ
せられながら、遺族の妄執や狂気と言った負の感情
に絶えず晒され続けるような、そんな印象でした。
 本来なら目に見えなくてもいい部分。大抵は異世
界の主人公に同調して行きたいと思うものだから。
そこを逆手にとって深く抉り込むように描き切る辺
り、「凄い!」以外の言葉が浮かびませんでした。