SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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椅子職人ヴィクトール&杏の怪奇録2 カンパネルラの恋路の果てに

[著者:糸森環/イラスト:冬臣/ウィングス文庫]★★

霊感体質の女子高生・杏はアンティーク椅子工房「TSUKURA」でバイトを続けている。極悪人顔揃いの職人たちは相変わらずみんな心優しく親切だし、死にたがりで人類嫌いで変人美貌のヴィクトールからは人類扱いされず、時に楽しく椅子談義が弾んだりもする。アレさえ出なければ本当に良い職場なのだ。ところが、ある二つの椅子が工房へ持ち込まれて以来、杏はたびたび恐ろしい目に遭うようになってしまい……? バイト継続の危機勃発、ふんわりオカルティック・ラブ第二幕!


 杏って霊感体質で人一倍霊に敏感なだけで、対処法を備えてるわけじゃないんですよね実は。ヴィクトール始め、柘倉の工房連中が『魔除けの店番』っぽく杏を扱ってるので、何となく“霊障を寄せ付けない体質”だとつい勘違いしてしまいがちです。


 だから、今回みたいな人間の精神に直接害を為す『悪霊』みたいな類は、本当にヤバいと思わされました。問題がアンティーク椅子にあるのは分かっていても、原因が不明なので対処法も見出せない。杏も大分危険な目に合って、結構冷や汗が出ました。


 終盤のヴィクトールは流石の鮮やかな手並。人嫌いは相変わらずだけど、今回の件で杏を一層気遣う様になってくれたので、大分距離も縮まった感じ。

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