SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

エンジェル・ハウリング9 握る小指―from the aspect of MIZU

[著者:秋田禎信/イラスト:椎名優/富士見ファンタジア文庫]

 ミズー編の最終巻。最初は「うまくまとまるんかなあ?」みたいな不安があって、最後は「ミズーの物語としてはまとまってくれた! けど、うーん……」な、納得と煮え切らなさの半々の心境での締めだったような感じでした。

 でもまあ、これってまだ次のフリウ編ラストが残っていて、未だに曖昧な点も持ち越されていたから仕方ないと事だと思うんですよね、と。きちんと終わるのかどうかに対しての不安は、途中まではまるで帝都崩壊からの“新展開”ような雰囲気だったから。もっとも、その先は一直線に『ミズーが付けるべき決着』へと進んでくれたので、おおむね満足出来ました。

 主に双子の姉アストラとの因縁について、『どんな答えを求めているか?』の自問の“答え”に辿り着けていたようだし、希望の持てる結末だったので良かったなと思えました。一方で、よく分かんなかったのが『精霊アマワ』そのものの謎の件で、こちらはフリウ編の方でスッキリさせてもらいたい所です。

既刊感想:

さよならの言い方なんて知らない。7

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 作中のアニメ『ウォーター&ビスケットの冒険』の映像内容が、ここに来て大きな影響力と重要性を兼ね備えて襲い掛かって来たような。ただ、それが指し示す『意味』とは? みたいな話になると「随分と複雑で面倒でややこしくなって来たぞ」と思わされる展開でした。

 この物語の根幹に乗っかっている事情と言うのは、あくまで『アポリア』なるシステムの開発・運営などの『現実側に影響を及ぼすもの』であって、本来なら『作られた側』である架見崎と香屋達にとっては抗う術が持たされていない。

 それなのに、AIの『反抗』とか『自己主張』みたいな反応が、それを創造したはずの運営側を翻弄しているから、更に話が複雑に絡み合っているような感じがするんですよね。

 架見崎にとって、香屋にとって、運営にとって、何をどうしたら『最善の終着点』に着いた事になってくれるのか。もう全く先が見通せない状況へと突き進んでいる印象でした。

既刊感想:

さよならの言い方なんて知らない。6

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 ヘビ(ウロボロス)の脅威は、香屋やトーマの感じ方から察せられはするものの、まだあまり『架見崎』にとって表立っての脅威にはなっていない印象でした。それはおそらく、まだ大多数のプレイヤーに対して真実が明かされていないからではないのかなと。

 ごく一部以外には伏せられた存在で、香屋もトーマもヘビを止めると同時に自分の都合の良いように利用しようとしている風にも見える。放り込まれたヘビは、自我が無いも同然の存在なので、自分の戦略の内に取り込める……と思っている。

 でも、真に厄介なのは、ヘビが架見崎を創造した『運営側』から介入しようとしている存在であると言う事。香屋であってもトーマであっても、扱いを誤るとただでは済まない危険性を孕んでいる気もします。もっとも、二人はそれすらも想定して先を見通しながら動いていそうですけどね。

既刊感想:

さよならの言い方なんて知らない。5

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]★

 「ぽかーん……」ってなったあと、「ひょえーー!」ってなりました。

 今回、待ち望んでいた『架見崎世界の真相』が明かされたのですが、あまりにも突然で、あまりにも意外な真相で、あまりにも“詳細まで語られ過ぎ”ていて、正直「こんな一挙に伏せていた秘密を見せちゃってもいいの?」みたいな、驚きとともに変な不安感まで浮き上がってしまいました。

 いやあ、ここまで大胆に攻めて来るなんて、ホントに「びっくりでした」と何度言っても足りないくらいの衝撃でした。しかしそれにしても……この真相を受け取った後で、香屋や秋穂や月生やユーリイなどの登場人物達、それから繰り広げられている『架見崎の陣取り合戦』などの様子をどんな風に追って行けばいいのやら。

 種明かし前からは、間違いなく見方が変わってしまった、変えたくなくても変えるしかない事態に陥ってしまった、と言った具合です。トーマが求める結末、運営が求める末路に関してはまだ曖昧な部分もあるので、その辺りを掘って行く展開になりそうですが、ホントこれまで『架見崎で懸命に闘って来たはず』の香屋とどう向き合えばいいのかと。

既刊感想:

さよならの言い方なんて知らない。4

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 香屋の目指している願望の到達点は大体想像通りで、ただし当然ながら思い通りに事が運ぶとは思えないし、香屋の考えがそれだけではない可能性もある。結局は、運営が何を意図して『架見崎』の舞台を操っているのかが見えて来なければ、明確な解答は掴めないと言った感じです。

 今回は『陣取り合戦の激化』を表面上で演出しながら、実際の狙いは勢力関係図の大幅な整理だったように思いました。その様々な局面で戦いが繰り広げられている『一段階上の目線』で、香屋とトーマの主張の衝突=真の闘いが敷かれていた印象です。

 唯一、ユーリイのみが規則に従わない存在で、あえて自分から視点を下げているようにも見えながら、彼の意図は他者からはさっぱり見通せない状況です。

 まあそこはユーリイ自身でも分かってないみたいなのでねえ、見てるこっちも割とお手上げなもんだから、実は一番厄介な行動予測不能人物なにかも知れません。

既刊感想: