SIDE ONE ~ラノベの感想を日々書き連ねる~

ラノベの感想を日々書き連ねるブログ

五人一役でも君が好き

[著者:壱日千次/イラスト:うなさか/MF文庫J]

 草食系な主人公・大河が好意を寄せる、『五人一役』を演じる五つ子姉妹に手玉に取られ、個々の特性を活かした接近で翻弄されて行く、複数ヒロイン攻略系ラブコメ……かと思いきや! 実際には全く真逆の展開で、戸惑いを隠し切れませんでした。

 この主人公、実際にはとんでもねえ野郎でした。羊の皮を被った狼、表は草食系で中身は野獣のような超肉食系、ヒロイン達に翻弄されている振りをして逆に秘密を握って困らせて悦に浸るドS気質。

 『1人を選べないから5人全員と結ばれたい』→『じゃあ重婚可能な海外へ移住しよう』とか、本気で目標に掲げて今から懸命になってる奴ですから。好きな気持ちは本気で誠実なので、クズ野郎と判断するのはちと迷う所ですが、目的成就の為にやっている事は、紛れもなく“クズの所業”ですからね。

 結局、想像してたのと大分違う方向の“ざまぁ展開”を味わう事になってしまいましたが。過程から結末まで、大河に対する好意感情の乱高下にはかなり楽しませて貰えました。

 しかし、ここからどう展開して行くでしょうね。五つ子姉妹は、大河のハーレム重婚願望を半ば認めているみたいだし。その内『自分だけを選んで欲しい』って気持ちも浮かんで来たりするのかなあ。

ぼくたちのリメイク9 怪物のはじまり

[著者:木緒なち/イラスト:えれっと/MF文庫J]

 『クリエーターは、どれだけの仕事量をこなすべきなのか?』。シノアキの体調不良により、彼女の実家へ付き添いで行った恭也の先に、口を開いて待っていた非常に重くてとてつもなく大きな問題。

 問われていたのは、『体調管理を常に最優先に考え、負担の少ない安定した仕事量をこなすべきなのか?』。それとも、『時には多少の無理な時間と労力を費やしてでも、自らの情熱のおもむくままに創作に最大限の意欲を注ぎ続けるべきなのか?』

 要はクリエーター自身の『健康状態』と、手掛ける作品の『品質』を天秤にかけて、どちらを“より優先すべきか”に葛藤しながら答えを探すような展開。この辺りの要素は非常に読み応えありましたが、とにかく精神的な疲労感も半端なかったですね。

 恭也は最終的な決断を下しました。彼にとって大きな転換点と言えるのかも知れませんね。茉平の考え方が恭也とは真逆で、それによって良好に見えていた二人の関係性がどう変わって行くか? 見物であり、触れるのがちょっと怖い所でもあります。

 茉平に関しては、強烈な『悪意』を残したVer.βとはまた違った配役で。そちらではなかなか見られなかった、彼の素顔や過去などの『本質』にも少しずつ触れて行って欲しいあと強く思いました。

既刊感想:、Ver.β

きみは本当に僕の天使なのか

[著者:しめさば/イラスト:緜/ガガガ文庫]

 ひとりのトップアイドルが、アイドル業界の後ろ暗い闇を暴く為、自らのアイドル生命を賭けて立ち向かって行く。主人公のいちアイドルファンは、そんな自分の『推しアイドル』の強引過ぎる要望に激しく戸惑いを覚えながらも、彼女の強固な意志に触れて共感を覚え、徐々に助力して行くようになる。

 いくら世間的にトップアイドルとは言え、個人で立ち向かうには限界があるし、業界の権力者の悪意を覆せるだけの力もない。そう考えると、麗の行動って相当に危険な賭けだと思わされて、いくら自信に満ち溢れていても「どこかで落とし穴にはまるのでは……」と、嫌な冷や汗が出まくってました。

 ただ、危機感を抱くのと同時に、大切な人を貶めた業界の裏を何が何でも暴いて見せる、と言う麗の決意や覚悟も強く伝わって来ました。まあ自分の犠牲も躊躇わない、相当に無茶して突っ走る性格の様で、暴走寸前を軌道修正させてくれた優羽の存在は大きかったですよね。この辺りは、彼を選んだ麗の目に狂いは無かった、と言う事でしょうかね。

 今回の騒動は一応の収束は見られました。で、次の段階で気になっているのが、優羽と麗の関係性。これまで優羽の『女性恐怖症』が歯止めになっている感じでしたが……ここが変化した場合、果たして二人の付き合い方はどうなって行くでしょうね。

剣と魔法の税金対策3

[著者:SOW/イラスト:三弥カズトモ/ガガガ文庫]

 今回は主に『関税』についてのお話。現実社会の関税にも通ずる、かなりガッツリと専門的な所まで奥深く描かれていたなと言う印象でした。で、毎度の事ながら正直関税の事にもあんまり詳しくないので、「なるほど~」な顔して物語を追ってました。

 最初にかなり複雑で面倒臭そうな雰囲気出しつつ、そこからちんぷんかんぷんなメイに合わせた難易度で分かり易く触れて行く。多分本当に、関税の基礎の基礎に触れて語っていると思うんですけど。物語への絡め方が本当に巧くて、更に加えて初心者にも把握し易い面白さも充分に備わっているんですよね。

 物語の方は、ここへ来て新たな動きが。税天使ゼオスと、いわくありげな雰囲気だったノーゼとの意外な関係性。これが、節税と金策に懸命なブルー達に果たしてどんな影響を及ぼすのか。今の所は悪い予感しかしませんが……。次はどんな税金関係の話が聞けるのかも楽しみで気になる所ですね。

既刊感想:

負けヒロインが多すぎる!

[著者:雨森たきび/イラスト:いみぎむる/ガガガ文庫]

 第15回小学館ライトノベル大賞『ガガガ賞』受賞作。

 主人公の温水は、言うなれば『負けヒロインホイホイ』。何故か『恋愛に敗れたヒロイン達』を、次々吸い寄せてしまう体質を持つ男……なのかも知れないけれど、その真相は温水自身にも分からない。

 温水視点で物語を追っていて、なんか凄く不思議な気分になりました。「何で俺ってこの人達と関わっているんだろう?」みたいな。本来なら、どのヒロインの恋愛に対しても、全て完全なる部外者的存在なんですけどね。いつの間にか面倒事に巻き込まれて、後戻り出来ない状態になってしまっている。

 押しに弱いと言う温水の性質の影響もあるのかなあ。にしても、ここまで連続すると、『負けヒロインを引き付ける』っぽい様子も、偶然とは言い難い強制力と言うか、見えない何かを感じてしまう。

 ただ、そこから温水と負けヒロイン達との関係が、恋愛に発展する見込みも薄そうですけどね。まあ、あくまで“今の所は”ですけど。現状ヒロイン達の未練は断ち切れそうもないし。そこが変わって来ると、また違った盛り上がりに繋がって行きそう。