SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく

[著者:ふか田さめたろう/イラスト:ふーみ/GA文庫]★★★

ヒロインの表面武装、主人公に通用せず
 クールな毒舌ヒロイン・小雪の『本心』=根は優しくて面倒見も良くて、好きな気持ちを素直に伝えたいけど、臆病で照れ臭くて表に出せない。この長々しい秘め事を、読心術の如くズバズバと言い当てる主人公・直哉よ、「お前は鬼畜か」と思いましたね。小雪にとって天敵みたいな存在。でも、この全く合わなさそうな関係があっという間に強固に結び付くんだから、どう転ぶか分かんないですよねー。

既にハッピーエンドは約束されている
 もっとも、実は互いに相性抜群で、『こんな相手を欲していた』がピタリと一致した、奇跡のような出逢いだったと思うんですよ。小雪が素直に『溶けて行く』様子、直哉が『恋愛感情に目覚める』様子、共に見ていてニヤニヤさせられてしまう。こう言った変化がとても丁寧に描かれていて良いですね。

董白伝2 ~魔王令嬢から始める三国志~

[著者:伊崎喬助/イラスト:カンザリン/ガガガ文庫]★★

逃亡計画から遷都計画への移行
 董白ちゃん、西方逃亡の道を捨てて洛陽脱出、後に長安へ遷都の為の住民大移動の巻。三国志の知識が無いので、史実との差異が読み取れないのが相変わらずもどかしい所ですが。今回の董白ちゃん、随分思い切った決断をしましたね。停滞したまま西方逃亡の策を練っていては、呂布に洛陽を落とされてしまから、と勘付いての進路変更でしょうかね。

今の董白ちゃんは一体何が『強み』なのかを考えてみる
 戦闘能力的な所を言うと、董白ちゃんのそれは皆無なので、馬超や趙雲を始め多くの武力に助けられている。ただ、最も重要な局面で幼き皇帝陛下の心を動かす事が出来たのは、他の誰でもない董白ちゃんただひとり。前世の三国志の知識があるだけではない、それとは別種の強さも感じられました。

既刊感想:

シュレディンガーの猫探し

[著者:小林一星/イラスト:左/ガガガ文庫]★★

第14回小学館ライトノベル大賞『審査員特別賞』受賞作
 探偵VS魔女。謎解明VS迷宮入り。謎を解く為に動く探偵と、謎を謎のままに『迷宮入り』させようと目論む魔女との対決。これ聞いて、「ええー謎が解かれないなんてスッキリ出来ないよー」とか先入観を抱いてましたけど、実際読んで「あーなるほどねー」と何時の間にか納得させられていました。

謎を解かない必要性
 『解くべきではない謎』を『謎のまま凍結させる』。華麗に謎を解くよりも、あるいはずっと難解な事かも知れない。「そんな事をして何の意味があるのか?」と言う思いでしたが、焔螺の『迷宮落とし』が令和の抱える事情に深く関りを見せた瞬間、一気に重要度が跳ね上がりましたよね。終盤で残された謎は、果たして次でどのように扱われるのか。

サンタクロースを殺した。そして、キスをした。

[著者:犬君雀/イラスト:つくぐ/ガガガ文庫]★★

第14回小学館ライトノベル大賞『優秀賞』受賞作
 伝えたい事は何となく分かっているのに、うまく伝わって来ないこの感覚。こちら側の拾い方が下手くそなだけのか、それともあえて抽象的な描き方をしている様に見えた為、そもそも拾い難かったのか。雰囲気は凄く好きなんですが、何か『ぼんやり』したんですよね。何て表現すれば自分がしっくる来るのか、書いてる今もハッキリせずに困ってる。

奇跡が起こるご都合主義を願う
 結末の『その先』について。実際にはその先なんて有り得ないはずなのに、もしかしたら……と希望を抱かずにはいられませんでした。『どうしても必要な数秒間』に『キス』を絡めて来る所、ハッとさせられました。もう一度機会があれば、今度こそは回避出来る、そんな『その先』があって欲しい。

結婚が前提のラブコメ2

[著者:栗ノ原草介/イラスト:吉田ばな/ガガガ文庫]★★★

馴染みの薄い世界だけに興味は尽きない
 現実の『結婚相談所の雰囲気』や『仲人役』と、物語の描写と、どれだけの差異があるか? ってとこはやっぱりかなり気になるんですよね。まあ実際お世話になる事もなかなか無いでしょうし、その辺りの要素がとても面白くてググっと興味を引かれてしまいます。

『仲人役』のやりがいと厳しさと難しさと
  今回はカレンがメインでしたが、個人的には縁太郎の『立ち回り』、具体的には会員に対しての『気配り』『気遣い』みたいな所が印象に残りました。それぞれ異なる接し方をしなければならないし、『距離感』にも配慮しなければならないし、よく目が行き届いているなと。ただ同時に、物凄く大変そうだなって印象もありましたけどね。特に結衣との距離の保ち方は、これから最も苦悩しそうですよね。

既刊感想: